飛び込み
アサヒ・コムを読んでいましたら、「高さ19メートルの橋から川に飛び込み、18歳男性水死」という記事が載っておりました。8月22日付です。
22日午後1時25分ごろ、奈良県吉野町菜摘の吉野川で、「橋から川に人が飛び込んでおぼれている」と119番通報があった。周囲の人たちが引き揚げたが、救急隊の到着時は心肺停止状態で、搬送先の病院で死亡が確認された。
吉野署などによると、死亡したのは、私立大1年○○さん(18)。死因は水死で目立った外傷はなかったという。○○さんは友人の男女計14人で遊びに訪れ、水面から19.3メートル上の橋から水深約3メートルの場所に飛び込んでおぼれたという。○○さんが飛び込む前、友人ら数人も飛び込んでいたとみられ、同署が詳しい状況を調べている。
高校で物理を学んだ方は覚えていらっしゃるでしょう。
こんな式。自由落下の式ですね。
この二つの式から t を消去しますと
こうなります。この式自体を公式として暗記した方もいらっしゃるでしょうが、私は理科教師ですが、こんな式は暗記していません。必要に応じて最初の二つの式で計算したり、まとめて3番目の式をその場で作って利用します。
さて、y=19.3m、g=9.8を代入しますと
v=19.4m/sとなります。
どんな速さかイメージしにくいでしょう。
秒速の数値を「3.6倍」すると、時速[km/h]の値になります。(理由は今日は省略)
19.4×3.6=69.8≒70
時速70kmですよ。そんなスピードで水面に衝突したわけです。
自動車にはねられたようなものです。これはよほどの構えを取っていないと耐えられるものではないでしょう。
まして、無防備に胸や腹で水面に当たれば、衝撃で気を失いますね。
頭から突っ込んでいたら、首の骨を損傷しているかもしれません。
一番耐えられるのは、脚から突っ込む形でしょう。それもきちっと両脚をそろえて、足の裏で水を叩くようにして衝撃を和らげるしかないでしょう。
痛ましい事故です。
「水は硬いもの」です。液体だからといって、やわらかいと思わないでください。
お気をつけくださいますよう。
◆「高飛び込み」という競技があります。一番高いのが10mです。
10mから飛び込むと、時速50kmで水面に突っ込むことになります。
頭から突っ込む場合は、両手を握って拳を頭の真上に挙げて、その拳で水を割ってそこへ突っ込むのです。
充分に練習を積んだ選手だからいいのですが、素人は真似してはいけません。
繰り返します。「水は硬い」のです。
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