胎児
2010.8.23付 朝日俳壇より
拳ほどの胎児でありし八・一五:(埼玉県宮代町)酒井忠正
金子兜太 評:栄養不足で小さかった胎児。あの胎児がどうやら育って、ここに。
作者は「胎児」といっておられます。胎児という言葉は、母の胎内にいる状態をさします。
ですから、8・15の終戦の日、自分は母の胎内でまだ「拳ほどの大きさ」に成長した段階の胎児だった。その時、自分は、この世の空気さえ吸ってはいなかった。その後、出産を経て、成長し、生き、今に至る。
作者は、その過程、時間の流れに大きな感慨をもたれた。
栄養不足で小さかったわけではないと思いますよ。戦後の栄養不足が大きく問題になるのは、「嬰児」になってから。
ちょっと、言葉の意味のずれがあるような気がしました。
えい‐じ【嬰児】
①生れたばかりの子。あかご。ちのみご。みどりご。
②生時から3歳位までの子供。たい‐じ【胎児】哺乳類の母胎内で生育中の幼体。
[広辞苑第五版]
「崩彦俳歌倉」カテゴリの記事
- 榠樝(2021.02.01)
- オオスカシバ(2020.10.06)
- 猫毛雨(2020.04.20)
- 諏訪兼位先生を悼む(2020.03.25)
- ルビーロウカイガラムシ(2020.01.17)
コメント