サッカーのユニフォーム
2010.8.2付 朝日歌壇より
サッカーのユニフォームを着て出勤の女教師は普段通り教える:(稚内市)藤林正則
佐佐木幸綱 評:サッカーWカップのたくさんの歌の中で、これを採らせてもらった。不謹慎と見る人も多いだろうが、小学生の目線に合わせての授業風景とみることもできるだろう。
作者はおそらくごく小規模な学校の先生でいらっしゃる。全校で10人20人という学校。
生徒・親・集落の人々・・・人間関係は非常に緊密。そういうなかで、先生がサッカーのユニフォームを着ても、何にも違和感などありはしません。不謹慎などではありません。
「モンスター・ペアレント」などという不快な語感の人間関係が現実に存在する都会のギシギシと軋む学校とはわけが違う。
40年も前ですが、大学2年生の頃、化学部で、北海道の僻地の小中学校へ、実験器具や薬品を担いで理科実験をしに行ったことがあります。その化学部の恒例の取り組みでその後もずっと続いているようです。
昔、ニシン漁場として栄えて、今はさびれてしまったという土地の学校にも行きました。
東京から学生さんが来るというので、集落挙げての大歓迎を受けてしまった。実験授業もしたけれど、泳ぎ、食べた記憶もまた強烈ですね。
朝しぼりたての原乳を一升瓶で頂いたり、海岸で「浜鍋」をごちそうになったり。
自分たちで獲ったウニを割って食べていたら、山ほどのウニを、ただじゃぁかえって気分的に負担だろ、10円でいいよ、っとくれた漁師さん。ウニだけで満腹なんてすごいでしょ。
人間関係の濃さは、都会人の想像を絶するものです。
「崩彦俳歌倉」カテゴリの記事
- 榠樝(2021.02.01)
- オオスカシバ(2020.10.06)
- 猫毛雨(2020.04.20)
- 諏訪兼位先生を悼む(2020.03.25)
- ルビーロウカイガラムシ(2020.01.17)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント