あめんぼう
2010.8.8付 朝日俳壇より
水上を氷上のごとあめんぼう:(久留米市)田中淳也
大串章 評:あめんぼうの滑らかな泳ぎが、「氷上のごと」によく表れている。
アイススケートにたとえたのはよくわかります。あの摩擦のない水面を自在に移動する姿は氷上の舞いにもたとえられるものです。
ただ、ちょっと選者に苦言を。アメンボウが「泳ぐ」というのはちょっと違いませんか?
水面を「滑走」しているのではないかなぁ。泳ぐというのはもっと水の中でしょう。
水馬水はさみしき乗物なり:(八戸市)ちば夜汽車
長谷川櫂 評:アメンボの下を流れる水。「さみしき乗物」とは舟を浮かべて乗ったときの感じに似ている。
でもって、また選者に苦言を。「舟を浮かべて乗ったときの感じ」ってなんですか?
私もいろんな船、小型漁船から、大型のフェリーまでずいぶんいろいろ乗りましたが、「似ている」といわれても、意味不明です。もう少し、読者に分かりやすい表現を使ってもらえないでしょうか。
作者は、水が「さみしい乗物」だといっているのであって、水に浮いているアメンボをさみしいと言っているわけではありません。
「乗物」に「さみしい」という形容をつけることで発生してくる「意味」について、それなりのイメージはありますが、私としての適切な表現を与えることができません。
読者に任された領分です。
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