清貧
2010.7.19付 朝日俳壇より
蜘蛛の囲の清貧の如ありにけり:(久慈市)和城弘志
稲畑汀子 評:蜘蛛が囲を張った。それはまるで清貧に甘んじているように見える。単純化した蜘蛛の囲を描いて妙。
私のような「むし」好きの立場からいうと、昆虫もクモも、みんな「清貧」なのです。
決して、貪婪などということはあり得ないのです。
「清貧に甘んじる」ということばの、「甘んじる」というところに、清貧を低く見る価値観が入り込んでいますね。
小さき者たちは、その時々に得られるもので生きるのです。
何日も何週間も、時には何カ月も食べ物がなくったって、生きられるように生きるのです。
ダメなら死ぬのです。
欲をかくのは人間だけですよ。
昆虫やクモの世界は清貧そのものなのです。
人間という生き物、恥多き生き物です。
恥というものを発明したのも人間でしょ。
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