天を見て
2010.7.11付 朝日俳壇より
天を見て水を飲み込む蜥蜴かな:(小金井市)二瓶みち子
これはお見事。トカゲが水を飲む動作を完璧に表現しきった。
顔をあげて、喉をこくっと動かして、水が腹へ流れ落ちて行く。
この句の場合、「蜥蜴」が季語ではあるのですが、季節をそこに読みとる必要はないでしょう。
春先の暖かい日差しに現れた蜥蜴だっていいし、夏の暑いときに冷たい水を飲む蜥蜴だっていいでしょうし、秋の澄んだ日射しに残るぬくもりを感じてもかまわないし。季節を限定する必要はないと私は思うんですね。蜥蜴を詠んだのであって、この句は「無季」だと考えていいと思うのです。
その方が、句が豊かになる。
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