アメンボ
2010.7.11付 朝日歌壇より
アメンボを押し上げ水の膨らめば雨燕低し紙の薄さに:(西条市)亀井克礼
困ったな。「押し上げ」という言葉からの連想で「膨らめば」とつながってしまったのでしょうか。
実はアメンボを支えるために、水はへこむのです。
ごく大雑把な図を描いてみました。
黒い丸がアメンボの脚のつもりです。脚には細かい毛がびっしり生えていて、それが水をはじきます。
軽いとはいえアメンボにも体重がありますので、重力がかかって、水面を押します。もし水面が押し返さなければアメンボは沈んでしまいます。
水面がアメンボを押し返す力はどのようにして生じるかというと表面張力なんですね。
水を弾く脚が紙面を押すと水面は凹みます、面積が増えます。水面は面積を可能な限り小さくしようと縮みますので、アメンボの脚に矢印のような力が加わります。この力の垂直成分がアメンボの体重を支えることになるのですね。(アメンボが浮いている水に洗剤を垂らすと、水面の表面張力が小さくなり、図の矢印が短くなり、したがって垂直成分も小さくなり、アメンボの体重を支えられなくなります。ということは・・・アメンボが浮いていられなくなって水に没するのですね。こんな実験しないでください。やりたかったら「針金アメンボ」をつくって実験して下さい。)
http://onogakuenblog.typepad.jp/rika/2007/12/11_22bb.html
ここに針金アメンボの実験が紹介されています。もし、夏休みの自由研究でもする必要のある年齢の家族がおられたら参考にどうぞ。
★ちょっと誤解があったようです。「膨らめば」ではなく「くぼめれば」というような方が科学的には正しいのですが・・・。
また、散文的なことを言ってしまった。ごめんなさい。
◆浮いているアメンボはどうして前進できるのか?
上の図のような状態で脚を蹴ると、水面に波が出来てそれを後ろに送って進むのではないか、という説もありました。
現在は、そうではなくて、実は、アメンボの脚の先端は水中に入っているというのですね。
で、その脚を蹴ると、渦が出来る。渦というものは、重さのある物体のようにみなすことが可能ですので、渦を作ってそれを後ろへ送り出すと、その反動で自分が進む、ある意味でロケットの推進と同じ原理だ、ということになっているようです。
◆アメンボのオスは水面を叩いて波を作り、その波でメスに自分の存在を知らせ、求愛行動をするようです。水面生活者の見事な知恵ですね。
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