18秭
これは教材になるっ!という記事を読んでしまいました。
いまだに「教師眼」が抜けません。何でも教材に見えてしまいます。
◆さて、黒板を前にして
T:これから大事な数字を書くからね。きちっとノートに写してほしい。数字の意味は後からちゃんと解説するから。
{といって、おもむろに}
「18000000000000000000000000」
{と無言で書きます。
生徒は、なんだなんだ、とざわつきながら、まじめにノートに写そうとし始めます。}
P:先生!「0」いくつついてるの?!
T:知らんなあ、勘定してみなよ。
P:むりだよぉ。
T:しゃねぇなぁ
{などとつぶやきながら「4桁区切り」でカンマを入れていきます。}
「18,0000,0000,0000,0000,0000,0000」
T:どうだ。
P:0が24個か。
T:そう。で、読めるか?
読める人いますかぁ。
兆 億 万
18,0000,0000,0000,0000,0000,0000
右から、「万」「億」「兆」と書きこみます。
T:次は?
P:「京(けい)」
{「京」はほとんどの生徒が知っています。}
? 京 兆 億 万
18,0000,0000,0000,0000,0000,0000
T:次は?
{ほとんどの生徒は知りません。でも、クラスに一人か二人くらいは大抵知っている生徒がいます。}
P:「垓(がい)」!
T:おぉ、よく知ってたなぁ。すごいじゃん。
? 垓 京 兆 億 万
18,0000,0000,0000,0000,0000,0000
T:では、次は?
{これを知っている生徒はまずいません。}
T:「秭」というんだ。変な字だね。読めるかよ
{これ読める生徒はいないと思います。}
T:これは「し」と読む。
{ここで、吉田光由の「塵劫記」からの「大数のこと」というのをプリントして配る。
色々なバージョンがあるので、あまり深入りはしないが、こんな名前をつけていたんだね。ということで。}
T: 仏の慈悲の広大無辺さを表現しようとしたらしいよ。
一 十 百 千 万 億 兆 京 垓 秭 穰 溝 澗 正 載 極 恒河沙 阿僧祇 那由他 不可思議 無量大数
{万までは10倍づつ、万以上恒河沙までは万進、恒河沙以上無量大数までは万万進です。(「秭」は「禾」に「予」という字で「じょ」と読む字を使うこともあります。)「不可思議」は「思い議するべからず」=「考えたり議論することもできない」という意味です。「不可」は禁止「してはいけない」ではなく、「できない」です。}
T:さあ、読んでみよう!
P:「18秭」「じゅうはっし」だあ。これ何の数字?
T:1億円以上の宝くじに4回も当選する確率らしい。
と、プリントを配布。
確率18000000000000000000000000分の1:宝くじ大当たり4回計19億円(7/14)
【ニューヨーク=田中光】米国テキサス州出身の女性(63)が高額宝くじを当て続け、話題になっている。6月に1千万ドルを手にして、当選額は1993年以来、計4回2100万ドル(約19億円)に上る。AP通信によると、ある数学者は、1億円以上の大当たりを4回も出す確率は18シ(秭)(1シは10の24乗)分の1になると試算している。
米メディアによると、世界で最も幸運な女性と呼ばれているのは、元大学教授のジョーン・ギンサーさん。
その幸運だけでなく、質素な慈善家としても知られる。携帯電話を持たず、教会などに車や住宅を寄贈。現在はラスベガスに転居し、ひっそりと暮らしているという。
T:ところでさぁ。いちいち0の数を勘定するの、面倒でしょう?やってられないよね。
便利な書き方があるんですよ。
こういうのね。指数表示だね。18と書いてから0を24個書けばいい。
理科的には
こう書く方が普通だ。数の値の方は一桁にして、桁数を10の肩の数字で示す。
一般的なことは抜きにして、この書き方、0が何個つくかを示しているわけだ。
1.8と書いて、小数点以下の桁数が25になるように0を書いていけばいい。
慣れれば難しいことはない。「桁数表示」と理解してしまえばいいんだ。
書く時は指数表示で、読む時は「いってんはちかけるじゅうのにじゅうごじょう」でもいいし「じゅうはっし」でもいい。
どっちでも理解できる方が便利かもね。
◆こんな展開になるかなぁ。
ちょっと生徒に驚いてもらわなければね。生徒を驚かせる「仕掛け」をいつも作っていきましょう。
生徒も、先生は今日はどんな仕掛けを仕掛けてくるのかな、と楽しみにするようになります。
◆本来の化学の話は「アボガドロ数」です。
「6000,0000,0000,0000,0000,0000」という数ですね。
「ろくせんがい」と読めることを知った上で、
T:「六千垓」。これは一体どういう数なのだろう?
T:この試験管の中には水分子が「六千垓」個入っているのだよ。
と、試験管に入れた水18mLを振ってちゃぷちゃぷさせます。
このあと、授業はアボガドロ数に入っていきます。
こんなところでしたかね。
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