転寝
2010.7.19付 朝日歌壇より
米寿なる母は転寝するときもハエタタキ持ち時時叩く:(山梨県)笠井一郎
永田和宏 評:見たことあるなあとしみじみ懐かしい。寝ている筈なのに、老いた母の手は時おり蠅を追う。
「転寝」という言葉を知らないのですが、意味は「ごろ寝」ですよね。
永田氏が「しみじみ懐かしい」とおっしゃっているのは、「ハエタタキ」のことですよね。
それとも母のごろ寝姿? ?
「時時叩く」といっても、実際に自分にたかるハエを叩いているとはなんだか思えないのですが。
深読みしてみます。
母上は、作者を育てた頃の夢を見ていて、その夢の中で、幼子にまつわるハエを追ったり、団扇で風を送っているのではないでしょうか。
読み込み過ぎ?かな。
母というものは、幼子に風をぱたぱた送りながら昼寝させ、自分もついうとうとして、ふと気づいてはまた団扇をあおぎ、またうとうとする。子育ての疲れ、子への愛情が滲みでる姿ですね。
そんな昔を夢に見てはいないでしょうか。
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