隕石のかけら:1
ミネラル・フェアのお土産。
ラベルに印刷されているように、隕石のかけらです。
ぶつかり合って生じた粉でしょうか、容器の内面に付着しているので、鮮明には写りませんね。
説明書。「約5000年前に地球に衝突した鉄/ニッケル小惑星のかけら」だそうです。
日本語版。
こんなかけらを見ていると、この間地球に帰還した「はやぶさ」のことが思い起こされますね。
この隕石は大部分が空気中で燃え尽きたのでしょうが、ごく一部がこうやってかけらとして姿をとどめた。
きっときれいな流れ星だったことでしょう。
ところで、人間の歴史に、「鉄器時代」というのがありますが、人間が最初に使った鉄は隕鉄だったと思われます。
銅の融点が約1000度ですので、硫化銅から銅への還元は、密閉性のよい炉の中で可能だと考えられますが、鉄の融点は約1500度ですから、炉だけではだめなんです。「ふいご」という技術がなければ還元できません。
日本の「たたら製鉄」では、「たたら」というふいごを足で踏んで送風し、炉の中を1500度くらいに保って還元したのです。「たたらを踏む」という言葉は、足踏みふいごの「たたら」から来ています。
ところが、隕鉄はもともと金属の鉄なので、その加工は1500度まで行かなくても出来るんですね。現在の日本の刀鍛冶の仕事を見れば分かります。ふいごは使っていますが、鉄の加工には1500度は必要ない。
こういう隕石を眺めていると、すぐ「これは授業に使える」という感覚になる。もう退職して長くなってきたのに、いまだに「教師眼」が抜けませんね。とくに理科教師というのは好奇心旺盛なものでして、旅行に行っても、どこへ行っても、「授業に使える」と思うと何でも仕入れてきてしまう。正直、相当な私費をつぎ込んだことでした。笑われそう。日常生活が常に授業準備になっている、という状態を、分かってもらえるかなぁ。そうやって常に授業を変えていく、新しくしていく、それが教師なんですがね。ですから、30年教師やって、同じ授業なんて繰り返したことないですよ。毎年変わっていくのが授業。授業は生き物なんです。
やめましょう。もう繰り言になる。
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