雨の子
2010.6.14付 朝日歌壇より
雨の子は円を書くのが得意だねポツポツポツリ学校の池:(富山市)松田わこ
作者は小学校3年生だと思います。
「円」を勉強したのかな。慣れないとコンパスはうまく使えない。
なのに、雨の子はいっぱい円を描いている、すごいなあ、と素直な感想でしょう。
ところで、かかしは理科おじさん。どうして、雨の子は円を描けるのでしょう?
ポツンと雨の子が水面に当たる。そこを出発点にして、すべての方向に波が広がる。その波の進む速さがどちら向きにも等しいから、波が円になるのですね。
もし、どちらかの向きへの波の速さが違ってしまったら、円にはなりませんね。
「学校の池」はどこも深さが一定なのだと思います。
実は水面の波は水の深さで速さが変わります。浅いと遅く、深いと早い。
ですから、水たまりなどで、水の深さが変わるようなことがあると、波の速さも変わり、その結果、雨の子も円が描けなくなってしまいます。
雨の日、浅い水たまりの縁のあたりを眺めてください。円になれなかった波が見られるかもしれません。
(遠浅の海岸に打ち寄せる波が、海岸線に並行に打ち寄せてくるのは、この、深さによる波の速さの変化のせいなのです。)
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