隕石のかけら:2
ミネラル・フェアのお土産ですが。
これ何をやっているのでしょう?
黒猫は、鉄・ネオジム磁石という強力な磁石です。
その黒猫がガラス容器の壁にくっついて落ちませんね。
中の隕鉄とくっついているのですね。
これ、授業に使えるなぁ。
ずいぶん前ですが、理科の業者から私費で隕鉄を買いました。
公費で買うと、当然それは東京都の財産だし、学校を異動するときには置いていかなければならないので、「私の教材」として使い続けたかったからです。
地球の鉄だろうと、宇宙から来た鉄だろうと、鉄という物質であることに変わりはないはずですね。ならば必ず磁石にくっつくはずだ。
といって、くっつけて見せると、当たり前なのですが、「お~っ」と驚きを呼びます。
鉄は星の中で通常の核融合過程でつくられる最後の元素です。
それ以上の重い元素は、超新星爆発の過程でつくられます。
地球に金があり、ウランがある、ということは、地球を作っている材料が、かつて超新星爆発のなかで生み出されて、宇宙を漂い、今ここにあるということなのですね。
地球は太陽と一緒に同じガス雲の中からできたのですから、太陽にも同じ元素があります。
宇宙初代の星は、水素とヘリウムでほとんどできていて、それ以外の元素はありませんでした。その星たちが寿命を終えるときに、内部に作り持っていた元素を爆発によって宇宙にばらまいたのですね。そのばらまかれた元素がまた集合して星を作り・・・ということが繰り返されて、私たちの太陽は約50億年前に誕生しました。地球も一緒に。
私たちは宇宙を循環する物質から生まれて、今、地球上を循環しているのです。
私たちの体を作っている元素、その実体としての原子は、星の中で生まれたのですよ。
そんな話へと授業を発展させながら、元素の話ができます。この隕鉄ひとつ、授業に持って行くことで。
私の化学の授業は、「毎時間必ず一つ『もの』をもって行こう!」とスローガンを作って作り上げていった授業です。そのひとつの『もの』として、隕鉄は大きく働いてくらましたっけ。
一挙に、いろいろな思いが浮かび上がってくる「隕石のかけら」なのでした。
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