明け渡す
2010.4.5付 朝日歌壇より
落書きを消して教室明け渡す終わる三月始まる四月:(枚方市)小島節子
{永田和宏氏も選んでおられます}
佐佐木幸綱 評:作者は小学校または中学校の教員らしい。担任クラスのホームルームを明け渡して、新しいホームルームに移るのだ。毎年、こういう春を送っている人もいるのだ。
学年進行によって教室を明け渡し、新しい教室へ向かう、というのもありますが、卒業させた後の教室を自分で掃除し落書きを消し明け渡す、というのは殊の外感慨深いものではあります。
教師というものは、私場の船頭みたいなもので、客を向こう岸へ渡したら、また戻って新しい客を迎え向こう岸へ送るのです。
自分はとどまりつつ、次々と生徒の成長に立ち会う。
自分を超えるものを育てるべく、最善の努力を傾注する。
教師とはそういう職業です。
私は高校生という年代が好きだったな。今でも。
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