匂い
2010.4.11付 朝日歌壇より
砂の町にいぶりがっこ三本と雪の匂いを連れて友来る:(アメリカ)中條喜美子
高野公彦 評:「砂の町」とあるから作者は乾燥地帯に住んでいるのだろう。だから東北地方の素朴な漬物や雪の匂いが殊更懐かしい。
東北とはいっても、基本的には秋田県のものです。
囲炉裏の上に大根をつるして、煙でいぶして水分を抜く、大根の燻製ですね。これを、麹と塩で漬けたものです。沢庵漬と似てますが、燻製なので、独特の香りがあります。
「がっこ」というのは「つけもの」のこと。秋田の方言です。
「匂い」「嗅覚」というものは、ヒトの場合、イヌなんかよりずっと鈍感なのですが、それでも、記憶との結合が深いですね。
ある特定の匂い、香りが記憶の中の特定のシーンと強く結び付いていて、その匂いで記憶が呼び覚まされるます。一瞬でタイムトリップしたような気にさせられますね。
砂の町から秋田へ。一瞬でジャンプなさったものと拝察します。
◆年齢:昔、母の実家に遊びに行くと、囲炉裏がありました。そういう年齢です。
学生時代、秋に母の実家を訪れたところ、伯母に、この冬一冬分の薪を割って行ってくれとたのまれて、鉈で薪割りをしました。腕が筋肉痛になった。薪ストーブや風呂を焚くのに使っていたのです。
刃物や火や煙と親しい世代です。
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