婚姻届
2010.4.11付 朝日歌壇より
桜花舞ふ中君と自転車で婚姻届を出しにゆく我:(京都市)橘幸子
佐佐木幸綱 評:落花の中の自転車がいい。青春映画の一場面のようだ。
思い出してしまったんですよ。自分たちの若かった時代を。
私たち夫婦はこの4月で結婚38年になりましたからね。スゴイでしょ。
「時代の雰囲気・気分」みたいなものがあったなぁ。
家同士の結びつき、なんてのを蹴飛ばして、男女二人の対等な個人同士としての結婚、というような感じが強くあった。
私たちの場合は、二人で春日大社に詣でましたっけね。あは。
1972年には、はしだのりひことクライマックスの「花嫁」という歌がありましたね。
いろいろな係累を切り離して、一人で彼のもとへ行く女性。
小さな カバンにつめた 花嫁衣装は
ふるさとの 丘に咲いてた 野菊の花束
1973年ですか、チェリッシュの「若草の髪飾り」。
あなたが髪に 結んでくれた
芽ばえたばかりの 草の髪飾り
・・・
ほんの普段着の ウェディングドレス
ベールの代わりの 若草の髪飾り
二人で出発するんだ、二人の人生の糸を二人で寄り合わせていくんだ、そんな、その時代の大人から見ればきっと、幼いような青臭いようなものに見えたであろう、「意志表明」がありました。
当時の青年であった、私たちは真剣だったんですが、ね。
「帰るところ」は、どんなに狭くてもおんぼろでも、二人の生活の拠点である場所しかない。
実家へ「帰る」とか里「帰り」などというものはない。実家へ「行く」のみだ。
青臭いでしょ。でも、そんな話をしたんですよ、実際。
なんだかなぁ、最近は復古調になってしまって、家やらなにやら、ぐちゃぐちゃ絡まっているみたい、式を「感動の物語」に仕立てようとやっきになっている。しらけております
まわりの大人なんかどうでもいいの、っ。
大事なのは二人。祝福いたしましょう。
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