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2010年4月12日 (月)

「ニュートン」という科学雑誌があります。
立ち読みして、面白い記事があると買ってきて読むのですが、2010年5月号に「ふ~ん」という記事があったので、ご紹介しましょう。
ちょうど、アゲハが蛹から成虫へ羽化したところですね、タイミングが非常に良いし。

「変態」――昆虫が激変するしくみ

 ・・・
サナギの中身はどろどろ
 では、完全変態昆虫では、どのように変態が進むのだろうか。・・・
 ・・・腸の中身を出すために下痢をすえう(「ガットパージ」とよぶ)。腸の中に食物や便が残ると腐敗し、羽化する前に死んでしまうこともあるという。・・・
 さらに体内では、成虫用の器官形成の準備が始まる。・・・
 サナギになると、不要になった幼虫の器官は退化・消滅していく。それらは”消化”されて、新しい器官への材料として使われるのである。そのため、サナギ前期の内部は、どろどろの白い脂肪粒でみたされた状態になる。・・・

単眼から複眼。まったく新しい眼へ
 チョウやガなどにおいて完全変態によって、がらりとかわる器官の一つが、眼である。・・・
 複眼は、幼虫期に準備された「原基(源になる組織)」からほぼ100%”新築”されるのだ、複眼の原基は、幼虫期、単眼のまわりに存在する。幼虫が成熟すると、原基では徐々に細胞の増殖がはじまり、視細胞やレンズ、色素細胞、網膜などがつくられる。そしてサナギになるころには、複眼の視細胞から脳の視覚中枢に向けて神経細胞の突起がのびていく。サナギの中期には細胞の増殖が終了し、後期になると神経が成熟して、複眼は完成するのである。
 ・・・

変態によって、眼が体内時計に?
 ・・・
 トビケラやショウジョウバエなどでは、幼虫の単眼が成虫内の脳に残り、サーカディアンリズム(概日リズム)の調整に役立っているという。いわば体内時計の役割を果たしているという。
 眼が体内時計の役割に変化するとはおどろきだが、市川准教授によると「おそらく幼虫の単眼は視覚とサーカディアンリズムの調整の両方に機能していて、後者の機能が成虫になったあともひきつがれるのではないでしょうか」と説明する。ただし、この説は直接的な証拠がなく、いまだ確証はもたれてない。
 ・・・

この、「体内時計に?」という記事の上のグラビアに「単眼は脳の中に残る」という写真があります。
「サナギ2日目の脳」と「成虫の脳」というキャプションがついていて、解説の文章はこうです。

幼虫の単眼の視細胞は消滅せずに、サナギでは、脳の後面に移動する。サナギになる場所を探しはじめるころ、視細胞とレンズは角膜からはなれ、視神経の中を通って脳の中に向かって移動をはじめるのだ。その後、視細胞は成虫になってもまるで脳内のホクロのように生き残る(写真はアゲハチョウの脳の断面)

幼虫の「側単眼」というのを何度かブログで紹介しています。その単眼が脳の中に残っているというのですからびっくりしました。そして、それが概日リズムの調整に機能しているということには、そうなんだぁ、という驚きと納得の声を上げてしまいました。
おそらく、かなりの確率でありうる話だと思います。

脊椎動物では、概日リズムにかかわる松果体という器官が脳内にあります。
松果体の細胞は眼の光受容細胞に似ています。
ムカシトカゲの頭には「第三の目」といって光を受容する骨の穴があって光に感じる細胞があり、そこで明暗を感じ取っています。これが松果体の前駆的な形です。

昆虫の体は半透明ですからね、脳の中にあっても外界の明暗は感じ取れるでしょう。
そうなんだ、そこで、幼虫時代の単眼が光を感じて概日リズムをつくっているのか、と納得です。
概日リズムというのは「約1日のリズム」という意味ですが、全くの暗闇の中で飼育すると、24時間から少しずつずれていくのですね。で、朝、夜という日光による明暗のリズムでリセットをかけているのです。ですから、光を感じるところがどうしても必要なのです。

納得だなぁ。
まだまだわからないことが多くて、知りたいことが多くて、楽しいですね。

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