5の番号
2010.4.19日 朝日歌壇より
電話機の5の番号に突起ある意味を知りしは目の手術あと:(坂戸市)山崎波浪
永田和宏 評:不自由になって初めて気づく。上句の具体にリアリティ。
ユニバーサルデザインという言葉が使われるようになるずっと以前から、「電卓の5」の位置にはポチがあったはずです。また、パソコンのキーボードのFとJのキーの所には、丸か棒かは分かりませんが突起があるはずです。
これらは、ホームポジションというものです。電卓を片手で素早く叩けるようになるためには、指先が常に一定の場所になければなりません。中指を5の位置に置くのが基本ですね。キーボードでは、タッチタイピングのために、左右の人さし指をFとJのキーに置くのが基本です。
必ずしも最初から視覚障害の方を意識したものではなかったでしょう。
こういうテン・キー・タイプのボタンと、プッシュボタン式の電話機とどちらが先に普及したのかな。個人的には電卓の方が先だったのですが。それが電話機にも受け継がれたと認識しています。
ラジカセの操作ボタン。再生ボタンに三角の出っ張りがありますね。停止ボタンは四角かな。あれは確かソニーが自主的に付けはじめたのだったと記憶していますが。視覚障害者を意識してのことだったと思います。で、特許とかは取らずに公開してくれたので、基本的に全てのラジカセが同じ仕様になりましたね。有難いことでした。
携帯電話機を見てください。恐らくほとんどの方は意識していないと思いますけれど、5の位置にポチがあるはずです。
ものをつくるときにね、試作品を目をつむって操作してみたり、耳をふさいで操作してみたりして、目や耳に頼った操作になってはいないか、試してみる奥行きが製作者側にあるといいのですけれどね。
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