はるのにおい
2010.3.15付 朝日歌壇より
「しんぶんをとりにでたらはるのにおいがした」合格果たした娘が言えり:(西宮市)田中洋子
冬というのは、抑え込まれている感じがあります。冬の青空さえ、心を鬱にさせる。
寒さでいつの間にか、肩に力が入っていて、体が凝り固まっている。
受験というのは、のしかかり、抑え込まれ、力み、凝り固まるものです。
それがほどけた時、「はるのにおい」に包まれていることに気づく。
解き放たれ、広がり、自己の表面がとけてゆくようなゆるさ、ここちよさ。
みごとに「射抜いた」ことばですね。
◆全く別件ですが。
1月の末から、家の周囲で水道工事がありました。車は出せないし、工事の人の声が絶えないし、トラックのバックを知らせる「人工音声」は響くし、エンジンカッターの発電機は唸り続けるし、昼に庭へ出ても低い塀一枚向こうで昼食をとる声がするし・・・
長かったです。心理的に参りました。3月上旬でやっと終わりましたが、この1カ月余り、私は心理的に「凝り固まって」いました。
ほどけましたよ、やっと。
肩の力も抜けました。
で、外へ出てみれば
春が爆発しました
被写体の数が爆発。
花の種類が爆発。
虫の数も爆発。
春って、爆発的に立ち現われるものなのですね。
兆しはずっとあったけれど、ある日突然、春って爆発するんですね。
しあわせな気分です。
うっとりしています。
「崩彦俳歌倉」カテゴリの記事
- 榠樝(2021.02.01)
- オオスカシバ(2020.10.06)
- 猫毛雨(2020.04.20)
- 諏訪兼位先生を悼む(2020.03.25)
- ルビーロウカイガラムシ(2020.01.17)
コメント