ガラパゴス諸島
2010.3.29付 朝日歌壇より
ガラパゴス諸島の鰐となり果てて老人ホームの風呂に動かず:(岩国市)蛭本博彦
馬場あき子 評:ガラパゴス諸島は動植物の宝庫だ。第一首は老人ホームでの入浴をのんびり寝そべる鰐にたとえてユーモアがある。
困惑しています。
おそらく、ガラパゴスにはワニはいない。
ガラパゴス諸島にいる爬虫類は、ゾウガメと、ウミイグアナ・リクイグアナなどの大型のトカゲなどがメインです。ワニはいないはずなのです。
選者は「ガラパゴス諸島は動植物の宝庫」とおっしゃっていますが、熱帯の原生林のような動植物「叢」の密度の高い生態系ではないのです。
大陸の進化の流れから切り離された独自の生態系が成立しているのです。そこに選者の誤解がありますね。
まず、作者がトカゲをワニと表現したと理解することにしましょう。
イグアナが岩の上で体温を上げるために日を浴びて長く寝そべっているのはTVなどで見る光景です。
その上で
世間・社会の流れから遠ざかった場所で、イグアナのごとく、世間の流れから離れて「長まっている」ことだなぁ
と読みこみたいのですが。
註:「長まる」は秋田の方言のような気もしますが、語感が好きなので私はよく使う言葉です。
「体を伸ばしてながながと横になる」というような意味です。
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