黒猫
2010.3.29付 朝日歌壇より
白梅の花びら散りしく路地をゆく朝青龍のような黒猫:(松戸市)猪野富子
これが、「詩」や「文学」の特性なんだろうなぁ。
意味の曖昧性がイメージを喚起する。
作者が提出した「言葉」は、読者に正確に伝わることを求めていない。
むしろ、その曖昧性によって、読者に豊富なイメージを引き起こす。
自然科学などでの「言葉」「用語」の使い方と全然違うのですよね。
自然科学では、言葉は対象を過不足なく表現することが第一であって、読者に対して曖昧であることを排除するのです。
「朝青龍のような黒猫」といわれて、困ってしまいました。
人によって「朝青龍」によって引き起こされる感覚がみんな違うはずですから。
悪役を期待しますか?丸っこい体を思い浮かべますか?激しい闘争心を思い浮かべますか?・・・・・・
伝わりはしない、だが、喚起する。
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