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2010年3月 8日 (月)

半減期

3月4日付で、C14による年代測定の話を書きました。
その時に、半減期の考え方を示すつもりでグラフを入れたのですが、どうも面白くないグラフでした。
そのグラフに描きこんだ半減期ごとの矢印というのが、「こんなもんだ」と手で描きこんだものなのです。
グラフ自体は「y=e^x」という形でエクセルに描かせたものです。

「手で描く」なんて気分ワリィ、グラフから自然に読み取れるようにするべきだ、と描き直してみました。
Hangenki1
如何でしょう?
縦軸は最初に存在した量を「1」としてあります。
横軸は時間ですが単位は任意です。
「1単位時間」が半減期になります。

ですから、グラフで1単位時間後=半減期後には、0.5になり、また半減期が経過すると0.25になり、以下、半減期時が経過するごとに0.125、0.0625、0.03125と減っていくことがわかります。
これなら、半減期の経過ごとに、量が半減していく、という感じがつかみやすいのではないでしょうか。

H1
こういうことです。

この一連の流れを見ていただけばわかるように、グラフを描くための式は
H2
これでいいのです。

●ところが、実はうっかりしていて、最初のブログ記事を書いたときは「e」にこだわっていたものですから、エクセルでも「EXP()」という関数を使って描いたのです。で、どうも、うまくなかったのですね。(ちゃんとこだわれば、ちゃんとなったのでしょうが、そこを流したのがいけなかった。)

●さて、半減期ごとに半分になるとして、半減期の10倍ほど時間が経ったらどうなりますか?
H3
1024分の1ですから、約1000分の1まで減ってしまうのですね。
1000分の1というのは、「もうほとんどない」に等しいと考えられます。
Hangenki2
こんな感じになります。

・炭素14の半減期は5730年です。ということは、その10倍=約6万年も経つとほとんど残っていなくて測定できなくなるということになります。
6万年というと、考古学と歴史学の重なり合うあたりでしょうか。
それだけに、C14による年代測定が「人間の歴史」のなかで果たす役割が大きいのです。

・原子炉や原子爆弾に使うウランは、質量数が235のウランです。このU235の半減期は約7億年。
一方、核燃料にならない、質量数が238のウラン(U238)は半減期が約45億年です。
この長さは地球の年齢とほぼ同程度ですので、U238は地球ができた頃のほぼ半分に減ったくらいです。
U235のほうはというと、半減期の6~7倍の時間が経過しています。ですから、最初に存在した量のごくおおざっぱにいって100分の1くらいに減ったのだ、といえますね。

◆ある時間経ったら半分になる、更に同じ時間が経ったら全部なくなってしまう、というのは直線的な、「比例」的なとらえ方。自然の出来事では、次々に半分になっていく、という指数関数的な考え方も必要なのですね。

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