日本蜜蜂
2010.3.29付 朝日歌壇より
頑なに日本蜜蜂飼い続け菜の花咲くをじっと待つなり:(前橋市)船戸菅男
普通「ミツバチ」といった場合、セイヨウミツバチを指しています。
セイヨウミツバチは一見して「黄色い」ですが、ニホンミツバチは黒っぽく見えます。
セイヨウミツバチの方が「家畜化」されていて、蜂蜜の採取には適しているのでしょう、詳しいことは知りませんが。
ただ、ニホンミツバチは、日本の「昆虫叢」のなかで進化してきましたから、セイヨウミツバチにない日本に合った特性も持っています。
有名なのはスズメバチと対抗できるということです。
ニホンミツバチはスズメバチと一緒に進化してきましたので、対抗する方法を持っているのですが、セイヨウミツバチはスズメバチに対抗できなくて、襲われると巣が全滅したりするのです。
スズメバチの偵察バチがニホンミツバチの巣に姿を現すと、巣の見張り番のミツバチが警報フェロモンを発して、戦闘態勢に入ります。
ミツバチたちは集団でスズメバチをとり囲み包み込み、蜂球という状態を作ります。そうして、胸の筋肉を激しく動かして、ミツバチたちは発熱を始めます。その熱が内部にこもると48℃くらいまで熱くなります。スズメバチは44~46℃くらいが限度なので、この温度に耐えられなくて死にます。ミツバチ自身は48~50℃まで耐えられるので、死にません。
このような、方法でニホンミツバチはスズメバチに対抗できるのです。
セイヨウミツバチは致死温度の上限がニホンミツバチほど高くないので、このような方法は使えないのです。
ただ、セイヨウミツバチでも、発熱するわけにはいかないけれど、スズメバチを包み込んで窒息死させる方法は持っているということですが、時間がかかるようですね。
日本の在来種を使って蜂蜜を採るということにこだわっていらっしゃる。効率は良くないのかもしれませんが、続けていただけるといいですね。
蜂蜜に特別な違いはありません。
(農作物への授粉者という意味では、セイヨウミツバチの方が守備範囲が広いような気もしましたが。)
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-7fc4.html
ここにニホンミツバチの写真を載せてあります。ご覧ください。
◆別件:ある蜂蜜業者の広告で、ミツロウを使ったクレヨンが宣伝されていました。安全・安心だと。
でもねぇ、昔からある「蝋のクレヨン」も蝋には取り立てて危険ということはないのですよ。
クレヨンが危険とすれば、それは顔料のせいなのです。
クレヨンの危険性を論じるのなら、用いている顔料が何なのか、これこれこういう顔料を使っているから安全・安心だ、といわなければ、まるっきり説得力はないのです。
天然だ、自然だ、だから安全・安心だ、というタイプの広告には、眉に唾を付けてかることをお勧めします。
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