車椅子
2010.3.22付 朝日歌壇より
手術終えしわが身を乗せる車椅子廊下に緩き傾斜を知れり:(東京都)福田孝子
永田和宏 評:車椅子生活を強いられて初めて知る微妙な傾斜。
1995年に脳出血で倒れられて車椅子生活となられたのちの鶴見和子さんの歌をいくつか
感受性の貧しかりしを嘆くなり倒れし前の我が身我が心
力仕事これにて終了これからは想像力を鍛えんと思う
手足萎えし身の不自由を挺子にして魂(こころ)自在に飛翔すらしき
斃(たお)れしのち元(はじ)まる宇宙耀(かが)よいて そこに浮游す塵(ちり)泥(ひじ)われは
車椅子での生活を「獲得」したと、考えてみていただけないでしょうか。
そこからの視線は、「強い人たち」には見えないものを明らかにしてくれるのではないでしょうか。
どうか、そこから見える「世界」を詠んで、私たちにお与えくださいますように。
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