焚き火
2010.2.1付 朝日歌壇より
燃えしぶる朝の焚き火の流木を裏返したりなだむる如く:(笠間市)北沢錨
佐佐木幸綱 評:たき火の匂い。なつかしい気分を味わうのは私だけではないだろう。都市ではたき火をまったく見なくなり、たき火の歌もなくなってしまった。秋から冬のうれしい風物詩だったのに。
包括的に「焚き火の懐かしさ」を語っても、この歌の評にはなっていないのではないか、と疑問を呈します。
湿った木なんですよ、おそらくね。で、煙い。「乾燥した」焚き火ではなく、湿って煙ばかりひどい「湿った」焚き火なんです。
ですから、少し上がっている炎に木の湿った部分を裏返しては、さらして、乾かし、煙を少なくしようとしているんです。
焚き火というのは、ただ火をつけて燃やせばいいというものではなくて、絶え間なく「世話を焼く」必要があるのです。
涙を流し、鼻水流しながら火の世話をしなければならない。
昔、学生時代、大学闘争のさなか、雨の中で焚き火をして暖を取ったものです。私たちの世代は大抵火が扱えますから、みんなで、降りしきる雨の中で焚き火の世話をしながら、「集会」などというものに出たのでした。
湿った木はけむい!
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