雪しまき
2010.1.25付 朝日俳壇より
雪しまきそれでもそれでも美しき:(岩手県)アブドルカーダー栄子
実は私、「しまき」という言葉を、明瞭な語彙としては持っていませんでした。なんとなく語感はあるんですが。
し‐まき【風巻】(シは風の古語) 風の烈しく吹きまくること。また、その風。<季語:冬> 。中務集「うちこゆる浪の音せばもらぬより―の風ぞ吹き返さるる」[広辞苑第五版]
あまりにもすさまじいのです。ブリザード、地吹雪のようなものかもしれません。
外出もままならず、ひたすら耐えるしかない。
そこに「意志」が介入する。
「それでもそれでも」と重ねたところに決然たる意志を感じとります。
「美しい」と言ってしまおう。
その決然たる表情に、美しさを感じます。
人生、あるとき、ある事態を、決然と意志の力によって肯定して、前進する力を発揮するべき時と言うものがあります。
生半可にやれば単なる「居直り」ですが、意志の力をふるうときにはふるって下さい。
私事:障害がある「のに」ではなく、障害が「あるからこそ」と言い切った時が、私にとってそういうときでありましたでしょう。
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