衝撃波
台所の流しでこんな現象を見たことはありませんか?
多分ありますね。
何の変哲もない現象です。蛇口から流れ落ちた水流が流しのステンレスにあたって広がっています。
ところで、これ、変だ、と思いませんか?
水の流れが底にあたったところでは水の厚みは大きい。外へ向かって流れるに従って、薄くなり、ただ、そのまんま薄~く広がってしまえばいいじゃないですか。
どうして、丸い円が描かれているのでしょう?
実は、この「円」、水の衝撃波面なんです。
この円内では、中心から半径方向への水流の流速が、水の波の速さより速いんですね。
広がるにつれて面積が増えますから、水流の速度が落ちます。
そうして、水流の速度と水の波の速度が同じになるあたりで、この円が形成されているのです。
この写真の円形の盛り上がりの外側を見てください。
盛り上がりの所での振動が、水面を外側へ同心円の波として伝わっていくのが見えます。
ですから、この盛りあがった円の外側では、波が立つのです。
内側は、写真では分かりませんが、半径方向への放射状の流れなんですね。
盛り上がりの円の内部に、プラスチックの棒を接触させてみました。
逆V字型の盛り上がりができていますね。
よく「衝撃波」の話で出てくる「V字型」です。超音速ジェット機の翼が空気中を音速を超えて進むと、後ろにV字型の衝撃波面ができます。これは有名でしょう。この衝撃波面が地上に届くと「爆発音」のようなものが聞こえます。
また、水面を船が進むとき、あるいは水鳥が水面を進むときでもいいんですが、後ろにV字型の波を引いていることがありますね。あれも、水面の波の速さを超える速度で船や鳥が進むと、衝撃波ができているのです。
爆薬の爆発などの映像で、空気中を透明な球が高速で広がっていく映像を見かけることがあります。あるいは、その球の地面による断面上で何かがすごいスピードで広がっていくような映像もあります。あれも衝撃波の映像なのです。
衝撃波面というのはエネルギーが集中していて、そこを境にして両側の状況がガラッと変わりますので、激しい出来事が起こります。
ジェット機の衝撃波が地面に届くと、窓が割れたりします。
津波が陸に上がると、陸上の建物などに激しい破戒が起こりますが、あれも、この衝撃波面が通過していくところが一番激しいのです。波面が通過したあとは、激しいけれど水流になります。
こんなことが、流しで水の流れを見ていて思い起こされました。
日常的にこんなことを考えているのが「理科おじさん」なのでした。
私のHPやblogでも似たような話題を扱ったことがあります。下がそれ。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/117th/sci_117.htm
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_82b8.html
こんなところもご覧ください。
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