珍しいものを見ました
これ、理科室の棚にあった段ボール箱の側面。
「1.4才」ってなんだかお分かりになりますか?
「1歳4カ月」 ではありません。
私自身、この「才」という表示に出くわしたのは2度目。職業によっては日常なんでしょうけれど。
最初に出会ったのは、新聞の折り込み広告。もう、20年も前の話かな。
手押しの一輪車の広告の脇に「才」があったのです。
学校へ持って行って、「これはなんだ?」と騒いでいたら、実家が建築関係だという先生がいらして、「それは立方尺のことです」と教えて下さったんですよ~。
1尺≒30.3cmとして
1立方尺=1才≒27800立方cm
ですね。リットルにすると
1才=27.8Lです。
(ちなみに、リットルを小文字で「l」とかくと、非常に紛らわしいので、最近は「 L 」で書き表すことになっています。)
◆さてそうすると、最初の写真。
1.4才ですから、38.9Lのことですね。
段ボール箱の容積かなにかなのでしょう。
しかしまぁ、理科室で、理科関係の商社が納入した段ボール箱に「才」を見るとは。
驚きましたねぇ。
◆余談
高校の化学で、1モル(=6×10の23乗個)の気体の分子集団は、0℃、1気圧で22.4Lと学びませんでしたか?
22400立方cmの3乗根をとると、28.2cmくらいなんですね。
授業ではよく30cmモノサシを持って行って、大雑把にいって、30cm立方くらいだ、という話をよくしました。
もし、20℃、1気圧だと、1モルの気体は24Lになります。
そうすると1辺が28.8cmの立方体ですね。
30cm立方って、結構いい近似なんです。
今考えるに、「1モルの気体の体積は、ごくごく大雑把にいって、1才だ」というのも面白かったかなぁ。
生徒の好奇心を喚起するのもなかなかに大変なのでした。
発泡スチロールを約30cm立方に切ったものをつくって授業に持ち込んだり、牛乳の1Lパックを4×6=24本、ガムテープでまとめて、教室へ持って行ったり。生徒にある程度の大きさを把握してもらおうと、いろいろやったものです。
試験管1本くらいの水が水蒸気になるとこんな体積になる、といえば、びっくりするでしょ。
正確な数字も大切だけれど、直観的に量を把握しておくのもとっても大事なのです。
◆「才」は尺貫法ですが。
「平米」はご存じですよね。「平方メートル」ですね。
「立米」はご存じですか?「立方メートル」ですね。では、読みは?
「りゅうべい」なのでした。
◆昔、1964年までは、1Lは1気圧で最大密度の温度における純粋な水1kgの体積
=1000.028cm3(立方cm)
と定義されていましたが、現在は1L=1dm3(立方デシメートル)と定義されています。
ついでに「ℓ」という小文字筆記体のエルは現在全く推奨されていません。早いところやめにして、「L」にした方がいいんですけどね、日本の理科教育も。
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