臍と乳
2010.2.22付 朝日俳壇より
人はみな臍と乳あり福笑:(高岡市)四津三樹夫
金子兜太 評:臍も乳も大いに揺れるのだ。
福笑いの出来に、「大いに揺れる」のですか。なるほど、そう読むのか。
私などは、頭が散文的ですから、考えることが違うんですね。
私たちは哺乳類・有胎盤類だから、すべて「臍」がある。胎盤のある動物仲間の共通点。
ではなぜ、男にも乳があるのか?
それは、男であっても、体の基本設計は女の体だからなのです。
発生の初期、女も男も、同じように出発するんです。ところが、途中でさして遺伝子の多くないY染色体上の「SRY」という遺伝子が働くと、その働きの下流で、基本設計の上に男の体を構築することになるわけです。
で、基本設計には、「乳」があるもので、それを消すこともならず、男にも乳があるということになるのですね。
とまあ、身も蓋もないことを考えていて、「福笑」という言葉に気づくのに遅れたという仕儀なのでした。
更に、しょうもないことが頭をよぎっていて。
私、背中の真ん中に、大きな盛り上がった「ほくろ」があるのですが、これ、乳のなごりというか、変形というか、なのです。
「副乳」といいます。男にもあるんですねぇ。普通ホクロだと思っていらっしゃる方が多いと思いますが、副乳というのもあると知って、自分の体をお調べ下さい。
男性の2%弱にはあるという話ですから。
「崩彦俳歌倉」カテゴリの記事
- 榠樝(2021.02.01)
- オオスカシバ(2020.10.06)
- 猫毛雨(2020.04.20)
- 諏訪兼位先生を悼む(2020.03.25)
- ルビーロウカイガラムシ(2020.01.17)
コメント