蠅取紙
2010.2.1付 朝日歌壇より
この冬も蠅取紙のぶら下がり夏のままなる峠の茶店:(渋川市)蓼科鱗太郎
永田和宏 評:蠅取紙、死語になりゆく言葉も歌に残したいもの。
別に残さなくてもいいかなぁ、と思いますが。
確かに死語でしょうね。
61歳の私の世代は、知っている。どのあたりから消えたのかなぁ。
粘着剤のついた紙テープをぶら下げておくと、ハエがくっついてしまうんですね。
親が料理を作って、順次配膳するんですが、先に食卓に置いた料理にハエがたからないようにうちわなどでハエを払うのも子の仕事でした。
「蚊帳」というものは知られていると思いますが、「蝿帳」って知ってますか。
「はいちょう」って言ってましたが。ハエが食品にたからないように、入れておく網を張った食品入れです。
食事を供する店で見たのだと思いますが。蠅取り器。
1mくらいかな、ガラス管で底が膨らんでいて、ハエを殺す液体が入っている。
反対側のてっぺんは「漏斗状」になっていて、天井のハエに下からかぶせる。ハエは飛び回ってやがて下の液に落ちる。
と、こういうものですが。
ご存じの方はいますか?
もう一つ、あいまいな記憶。
ハエ叩きでハエを殺し、50匹くらいかなぁ、集めて紙袋に入れて、交番に持って行くと、おまわりさんから、1円?5円?くらい御褒美がもらえた。
東京の世田谷で、今から52,3年前だと、あいまいな記憶。
どなたかそういう記憶をお持ちの方はいませんか?
記憶って本当に曖昧なんだから。
もうひとつ、思い出を。
ハエを取る、と言えば各家庭に「ハエ叩き」はほぼ必ずあったと思うんですね。
反射神経と視力の良かった年齢のころ、空中を飛び回るハエを空中でたたき落とす、という技を、持っておりましたよ。
ハエ叩きがなくて、ひょいと手を伸ばして空中でハエを手づかみして捕まえたことがあるんですね。そうしたら、手のひらに蛆を産みつけられてしまった。卵胎生のハエがいることを初めて知った瞬間です。
やがて、時間が「長く」過ぎ。我が子と一緒にカマキリの飼育に励み始めた頃。
ハエを生きたまま捕まえたい。ハエ叩きは使えない。どうしよう。
そうか「捕虫網」で捕まえればいいんだ。
なんというか、発想の逆転でしたね。そうだったんだぁ。ハエだって虫だもんなぁ、捕虫網で捕まえればいいんだ。
以来、ハエは捕虫網でつかまえております。
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