あさり
2010.2.22付 朝日歌壇より
海水を吸いて吐き出すあさり棲み三河の湾(うみ)は浄(きよ)められゆく:(名古屋市)諏訪兼位
高野公彦 評:作者注によれば、アサリ一個で一時間に一リットルの海水を濾過し浄化できるという。
良き海苔の育つところにアサリ数多棲みて浄むる三河の湾に:(名古屋市)諏訪兼位
馬場あき子選
諏訪先生、意気軒昂。諏訪先生は地質学の大家でしてね、科学者なんです。
岩波科学ライブラリー 136 「科学を短歌に読む」(2007.10.5刊)という本も出しておられます。
ですから、単純にアサリが水を浄化する、すごいなぁ、というだけではなく、そのデータまでご存知の上で、なお、清らかな海をみておられる。
読む側もそれを知って読みこむと歌の奥行きが深くなります。
{アサリを買ってきて、塩水に入れて砂を吐かせるとおもしろいでしょ。2本の管があって、1本が入水管、もう1本が出水管なんですよ。ぴゅっぴゅっと水を噴き出して、あたりがびしょぬれになりますよね。あれを海中でもやっているのです。そうして、海水の中のプランクトンを濾しわけて食べているわけです。}
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