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2010年1月29日 (金)

ヨウ素が豊富

理科支援員などしております関係で、更新が遅れています。御理解下さい。小学生は元気ですよ~。

さて、旧聞に属しますが、正月明けの勝手な日に「鏡開き」をしました。といっても陶器製の鏡餅をしまっただけですが。(昔、独身時代は、母親にいつも鏡餅を細かくしてくれと頼まれましたっけね。のこぎりやなたやかなづちで破壊したものでした。)

でも、一応、昆布など敷いてあったのですね。で・・・
0109konbu8_2
ご覧ください。



*料理の際、まれに色が出る事がありますが全く害はありません。安心してご利用下さい。
●茶色……昆布だしの色
●緑色……天然の葉緑素
●青色……ヨウ素、でんぷん反応

こう書いてあります。
そうかぁ、きっとクレームがついたんで予防線を張っているんだなぁ。
それにしても、だしの色が「無色透明」だとか思っているのかなぁ、情けないや。
とまぁ、思いつつ。
3つ目。「ヨウ素‐でんぷん反応」は見逃せません。

現役時代、ほうれん草は鉄分が多い、というようなことで、ほうれん草を焼いて灰にして、鉄イオンの検出反応を行う実験を企画し、生徒にやらせたことがあります。おもしろかったですよ~。
「海藻はヨウ素が多い」という話も当然知っていて、やろうかな、と思いつつやらないままに、退職に至ってしまって。怠慢だったなぁ、と反省し、やってみることにしました。

焼いて灰にする、というのがちょっとめんどくさかったのですよね。
ところがこの袋の表示では、「昆布だし」でヨウ素でんぷん反応ができそうです。
やってみよう!!
0109konbu1
用意した、でんぷんと昆布(おさがりの)。長さ15cmくらいですか。

0109konbu2
昆布を細かく切って、鍋に入れ、適量の水を加えて煮だします。

0109konbu3 茶漉しで昆布を取り除いた「だし」。

でんぷんの方もお湯でといて、糊状にして、昆布だしにわずかに加えます。

この状態では、昆布から煮出された「ヨウ素」は実は「ヨウ化物イオン」という陰イオンになって溶けているはずです。ヨウ化物イオンとでんぷんでは反応しないのです。ヨウ素でんぷん反応は「ヨウ素」とでんぷんの反応なのです。

●では、どうやったらヨウ化物イオンがヨウ素になるのか。

ヨウ化物イオンが持っている余分な電子を奪い取ってしまえばいいのですね。
電子を奪われることを「酸化」といいます。電子を奪う側は自分が電子をひったくって来て(=還元されて)、相手を酸化します。
ですから、「酸化剤」を加えれば、ヨウ化物イオンがヨウ素になるはずなのです。

手元に古いオキシドール=過酸化水素水がありました。もう何年も前のものですので、おそらくボトルの中で水に分解してしまっているのではないか、と思いましたが、加えてみました。
0109konbu4
左が古い過酸化水素水を加えたもので、右は比較のために何も加えていないもの。
わずかに色が濃くなったようですね。酸化力がちょっぴり残っていたようです。

台所には「キッチンハイター」があります。これは塩素系の「酸化剤」です。新しいですから強力なはず。
0109konbu5
一滴入れただけで、濃い青紫になりました。見事なヨウ素でんぷん反応です。
やったね!
しばらく放置しておいて比較してみました。
0109konbu6
上は比較用の何も加えていないだし(もちろんでんぷんは入っています)。
左下が過酸化水素を入れたもの。はじめより大分色が濃くなりました。
右はハイターをたらしたもの。もう真っ黒けです。

やりましたねぇ。昆布だしでヨウ素でんぷん反応が出来るんだぁ。うれしい。
ぜひやってみてください。小中高どの段階でもできるし、理解できる実験になりました。
実験屋としての喜びを感じます。
0109konbu7
容器の壁にくっついて、液の厚みが薄くなった部分を見てください。
この色が、ヨウ素でんぷん反応の正式な色です。
でんぷんを使わずに、可溶性でんぷんという、でんぷん分子の鎖を短くして、冷水でも溶けるようにしたもので実験すると赤みがかってしまいます。でんぷんそのものを使うのがよいですね。
ヨウ素でんぷん反応と言うのは、でんぷん分子が長く鎖状になっていて、これが螺旋を巻き、その螺旋の中にヨウ素分子を取り込んだ「複合体」が発色する、というものなのです。
ですから、鎖が短いとあまりい発色をしないのですね。

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ところで、原発事故の時など(チェルノブイリの時もそうでしたが)、ヨウ素剤を飲む、ということが行われます。なぜでしょう?

原子番号92のウランの核分裂に際して、均等に真っ二つに割れるわけではありません。
少し偏ったところにピークが来る。原子番号38のストロンチウム(Sr)も有名です。92の半分より軽めのピークのほうの元素です。
一方、重めのピークの方には、例えば原子番号53のヨウ素(I)などがあります。
この放射性ヨウ素は人体に入ると甲状腺に集まります。
なぜかというと、甲状腺では代謝にかかわる甲状腺ホルモンが分泌されます。代表的な甲状腺ホルモンが「チロキシン」。
Thyroxine
これがチロキシンの構造式です。1分子の中に4つもヨウ素原子が入っていますね。
ですから、甲状腺で甲状腺ホルモンをつくるにはヨウ素がたくさん必要なのです。で、放射性があっても、ヨウ素はヨウ素ですから、放射性ヨウ素も甲状腺に集まってしまう。
そうして、甲状腺で放射線を出し続けることになり、喉頭がんを誘発したりするのです。
そこで、予め、放射性のないヨウ素をたくさん飲んでおけば、放射性ヨウ素にさらされても体内に取り込む量が少なくなる、ということでヨウ素剤を飲むのです。

日本人はノリやワカメやコンブなどを日常に食べていますので、ヨウ素は普通の食事でかなり足りているはずです。
それに対して、大陸内奥部に生活する人はヨウ素不足になりやすい。ですから、普段からヨウ化カリウム添加の食塩などを使うことになります。
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というわけで、お正月早々の理科おじさんでした。

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