月食
2010年1月1日午前4時頃に部分月食がありました。
毎日新聞にこんな記事がありました。
余録:元日の月食
その昔「晦日(みそか)に月が出る」はあり得ないことのたとえだった。月の満ち欠けの1周期をひと月とする太陰暦では月末の晦日は月がない。「晦」は暗いという意味がある。「晦日の月」は「四角い卵」とともに「ないもの」を表すシャレとして重宝された▲太陰暦では新月の毎月1日を「朔日(さくじつ)」と呼んだ。一方毎月15日夜の満月は「望月(もちづき)」である。その暦を、いきなり太陽暦に切り替えると新政府が発表した明治5(1872)年のことだ。小紙の前身である「東京日日新聞」はこう書いている▲「さすれば朔日の日食、望夜の月食も之(これ)を必ずと期し難し。いわんや晦日の月出るに至りては晦の晦たる、その名にそわず、十五夜かえって闇夜の如(ごと)きは望の望たるその実を失わん」。新暦導入に戸惑う庶民を代弁しての太陽暦批判だった▲新聞は月食も十五夜と限らなくなると書いたが、それどころではない。今度の元日は「晦日の満月」が年をまたぎ未明の月食が見られる。元日月食は新暦導入以来初めて、それ以前の太陰暦では原理上ありえなかったから「日本史上初」だ▲ただ月の欠け幅は最大でも全体の1割弱という部分食である。壮大な天体ショーといっては大げさだが、続く初日の出と合わせて見れば歴史的な年明けを体感できよう。未明、西の空にかかった満月は午前3時51分ごろから左下が欠け始め、31分後には最大欠け幅に達するという▲来年は6月26日と12月21日にも月食がある当たり年だ。また年初は4日未明にしぶんぎ座流星群も観察できる。天文ファンはもちろん、そうでなくとも高く空を見上げ、遠くに目を凝らさねばならない2010年がやってくる。
毎日新聞 2009年12月30日 0時01分
朝日新聞ではこんな記述がありました。2009年12月28日のアサヒ・コムより
「新年があけてすぐの1月1日午前4時ごろ、日本で月食が見られる。元日の月食は「日本史上初」。明治以降で例はなく、それ以前は「太陰暦で、元日は新月だったから」(国立天文台)。」
ちょっと、虚を衝かれたという感じでしたね。
太陰暦が「月の暦」であることはもちろん知っていました。そして「ついたち」が「つきたち」だということも知ってはいたんです。でも、全部が統合されていませんでした、私の頭の中で。
つい‐たち【朔日・朔・一日】(ツキタチ(月立)の音便。こもっていた月が出はじめる意)
①西方の空に、日の入ったあと、月がほのかに見えはじめる日を初めとして、それから10日ばかりの間の称。(陰暦の)月のはじめ。上旬。初旬。伊勢物語「時はやよひの―、雨そほふるに」
②月の第1日。1日。(古くは「ついたちの日」ということが多い) 蜻蛉日記下「閏二月の―の日、雨のどかなり」
③特に、正月1日。元旦。紫式部日記「ことしの―、御まかなひ、宰相の君」
[広辞苑第五版]
さく【朔】
①月の黄経が太陽の黄経に等しい時の称。すなわち太陰暦1日。ついたち。月が太陽と同じ方向にあって、暗い半面を地球に向ける。新月。「朔日・八朔・正朔」 晦。
②昔、中国で天子が歳末に諸侯に頒布した翌年の暦。
③きた。北方。「朔北・朔風」
[広辞苑第五版]
今年、2月14日(いわゆるバレンタイン・デー)が旧元日です。もちろん、朔です。
朔では、太陽・月・地球と並びますので、この日に日食はあり得ても、月食はあり得ないんですね。月食は地球の影の中を月が通過するのですから、太陽・地球・月と並ばなければならないんです。これは「望」ですね。
去年の7月22日、日食で大騒ぎしましたが、あの日は旧暦では「六月『ついたち』」だったんです。やっぱりねぇ。
今年2010年1月1日は太陰暦では「11月17日」でして、「望」だったのです。
なるほどねぇ。
太陰暦が月の暦であることを強く学びました。もう忘れません。
ところで、明日、2010.1.5は「小雪」です。この「小雪」というのは太陰暦に属するものでしょうか?太陽暦に属するものでしょうか?
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