天地返し
2010.1.25付 朝日歌壇より
百キロの麹の「天地返し」してかさかさの手に艶戻り来る:(長岡市)唐沢美也子
佐佐木幸綱 評:まさに生きものとしての麹を実感している一首。独特のにおいと湯気も読める。{高野公彦氏も選んでおられます。}
佐佐木氏の評でもいいのですが、「生きものとしての麹を実感」「におい」「湯気」のほかに、おそらくもう一つあるのです。佐佐木氏はひょっとしてご存じないかもしれない。
それは「コウジ酸」。
「Kojic acid」というのですけどね。
麹を扱う人の手が、いつもつやつや、しっとりして美しい、ということがあるのです。
パン生地をこねる職人さんの手も同じように、いつもしっとりきれいだといいます。
で、このコウジ酸、美白化粧品に使われるのですね。
一時、発がん性が疑われていましたが、今はまた復活しているのではなかったでしょうか。
そういう、「コウジ酸」の効能、女性はきっと敏感に知っておられる。
そのあたりの感覚が詠み込まれているのだと思いますよ。
「崩彦俳歌倉」カテゴリの記事
- 榠樝(2021.02.01)
- オオスカシバ(2020.10.06)
- 猫毛雨(2020.04.20)
- 諏訪兼位先生を悼む(2020.03.25)
- ルビーロウカイガラムシ(2020.01.17)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント