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2009年12月 8日 (火)

サボテン

恋する大人の短歌教室(2009/12/7 朝日新聞)
{応募作}
他よりも大きく見えるサボテンは彼の名を呼び水を遣り:東京 三村裕美子

 詠いたいことは、よく分かります。ただ、言葉がうまく整理できていないようですね。音数が2音足りないところも、いかにも不安定。少し手を入れれば、すてきな歌になりますよ。
 「大きく見える」という言い方、ぼやけた感じがしませんか?どう大きく見えるのかをはっきり言った方が、イメージが浮かびやすくなります。また、第三・第四句の助詞は替え、作者の存在を主張しておきましょう。今のままだと、サボテンが口を利くみたいです。第五句は終止形で引き締めるとして、字足らずは「水遣りをする」とすれば解決します。しかし「水を遣る」という直截な表現は捨てがたい。第四句の「名」を「名前」にし、「呼び」を第五句に繰り入れてみました。でも、「呼び水」という言葉もあって紛らわしいですよね。読点を打ったらどうでしょう。読点が生み出す微妙な休止感には、作者の行為を鮮明なものにする効果もあるはずです。これで幸福な気分が、無理なく読者に伝わるのでは?(石井辰彦)

{添削後}
他よりも少し大きなサボテンを彼の名前で呼び、水を遣る

----------------------------------------------
実際に大きいかどうかは分かりません。
彼は少し大きい人なのか、とっても大きな人なのか、背丈ではなく存在感がぐっと大きいのか、好きだから。
いいんですよ、ぼやけていて。作者にとって彼は「大きく見える」んです。
ですから、「大きく見える」で私はいいと思います。

ちょっと、書き方を変えてみますね。

{応募作}
他よりも
大きく見える
サボテンは
彼の名を呼び
水を遣り

{添削後}
他よりも
少し大きな
サボテンを
彼の名前で
呼び、水を遣る

字足らずを解消しようとしたものですから、「名前で呼び」が分かれてしまった。私はこういうのは嫌いなんです。歌のリズムはむしろ原作の方がずっといい。字数にとらわれ過ぎて歌のリズムを失わせてはいけません。
私がもし手をいれてよいのであれば下のようにしたいのですが。勝手をいって申し訳ありません。

他よりも
大きく見える
サボテンは
彼の名で呼び
水を遣り

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