進印
2009.11.23付 朝日歌壇より
身障者右マヒ杖歩行なんのその「進印(ススムジルシ)」の私ですから:(加古川市)田中喜久子
高野公彦 評:注に「進は亡夫の名」とある。
「歩けよ」の亡夫の声きき外に出る哀しきまでに深き青空:(加古川市)田中喜久子
{馬場あき子 選}
最初の歌を読んだときには、いろいろ体は差し支えもでてきたけれど、頑張っておられるんだなぁ、とそれだけでした。
ところが、馬場氏の選の歌を読んで、思わず、ああ、という気持ちにさせられました。
御夫君の声が支えておられる。籠っていてはだめだ、外に出て、歩いて、心と体を養生してくれ、という声がするんですね。「進印」は作者の中に生きている御夫君であられる。
つらかった。夫婦って、かくも深い絆で結ばれうるものなのですね。
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5時起床着がえるだけで一時間ときになみだす半身マヒは
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三秒だけ待って下さい履けるのです飛んできて靴を履かせないで
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ものかけぬは胸のふさがるここちしてキンモクセイのかおりをあびぬ
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