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2009年11月19日 (木)

月の縦穴

◆朝日、毎日、読売三紙の10月25日付けのウェブサイトで「月の縦穴」発見の話が報じられました。
直径60~70m、深さ80~90mの穴だそうです。穴に差し込む太陽光やそれによる影の解析から推定されたものだそうです。また、穴の底には、横方向のトンネルがあるようで、月面基地に利用できるのではないか、などという話もなされていました。

また11月4日付の朝日新聞「天声人語」ではこう書いています。

・・・月探査機「かぐや」が撮影した月面の画像を詳しく調べたところ、直径60~70メートルの不思議な穴が確認された。かぐやは上空100キロあたりを周回していたから、カラスがアリの巣を探し当てたに等しい。
 穴は普通のクレーターより壁が切り立ち、差し込む光の分析から、深さは約90メートル、底には広大な横穴が延びるとみられる。横穴は太古の火山活動が残したトンネルで、かぐやが見つけた穴はその天井の一部が崩れ落ちたものらしい。・・・

この穴の写真は下のサイトで見られますので興味がおありでしたらご覧ください。
http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2009/1105.shtml

◆穴がいったん見つかってしまえば、その穴に差し込む太陽光や影の分析を始められますが、では、そこに穴があることに先ず第一に気づいたのはどうやってだったのでしょう?
それが今回の話の中心点です。

上にリンクしたサイトの写真を見るとよくわかるのですが、その穴は、周囲に比べて際立って「真っ黒だ」ということ、これが穴の発見のきっかけだったのではないかと想像しています。

「真っ黒」という出来事は「入って行った光がかえってこない」ということです。

入射光が全部かえって来る時が「白」、全くかえってこない時が「黒」、その中間なら「グレー」なのです。
入射光のうち特定の波長の光だけが返ってきたとき「色」がついて見えるのです。
ですから、白や黒は「色ではない」のです。

深い穴では、入射した太陽光が穴の壁で反射を繰り返して減衰しながら入り込んで行ってついにかえってこない、で真っ黒に見える、ということなのではないでしょうか。

詳しい分析では、太陽高度が非常に高い時、どうやら穴の底からの反射光があって、深さが推定できたようです。
とはいえ、詳しい分析を引き出す最初のきっかけは、この、「真っ黒け」という現象だったのではないでしょうか。

◆光をよく反射するものをうまく構成すると「黒」を作りだせる、という手軽な実験を、稿を改めてご紹介します。お楽しみください。

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