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2009年11月10日 (火)

2009.11.8付 朝日歌壇より
川底にこと終えし鮭横たわる母なるカムイ山のふところ:(登別市)世利美智代

サケは産卵・放精のためにすべてを使い果たします。そのあとに生きることなんかこれっぽっちも考えてません。
代謝能力のすべてを使いきり、生きる能力のすべてを最大限に使いはたして、次世代を残す仕事に当たります。
そのようにして死ぬことが、サケという生物の脈々たる命の連続を支えているのです。

以前にも引用したことがあるのですが、柳澤桂子さんの「われわれはなぜ死ぬのか」1997年、草思社刊 から引用します。

    河の流れをのぼりきったところで、サケは産卵する。雌のために産卵の場所をあらそって確保するのは、雄の役目である。産まれた卵に精子をかけ終わると、サケは死ぬ。産卵を終わった雌も死ぬ。
    産卵後のサケは、組織学的な変化と生理学的な変化の総合的な結果として死に至るものと思われる。まず、産卵期のサケは、食べ物を摂取することができなくなる。腸の上皮細胞は、ほぼ完全に消失し、脂肪の蓄えは使いはたされる。
    サケが成熟すると性腺のステロイド・ホルモンの分泌が増加する。その結果、血中の副腎皮質ホルモンの濃度が5倍以上に増加する。
    この副腎皮質ホルモンの濃度が高くなることによって、サケのからだは劇的に変化すると考えられている。まず、腎間細胞の核が大きくなり、からだ中の組織に変化があらわれる。心臓冠動脈、腎臓やその他の動脈の内皮細胞が異常増殖する。これは、ヒトの心臓冠動脈疾患の病理像と非常によく似ている。肝臓、心臓、脾臓、胸腺の細胞は核がこわれて細胞死をおこす。心筋細胞は変性して破壊される。しかし、筋肉細胞は正常な像を保っている。皮膚にはカビが増殖し、免疫反応は極端に退行する。
    性ホルモンの働きによって、一時的に副腎皮質ホルモンの濃度を高くすることによって、からだ中のすべてのエネルギ-を生殖に向けて集中的に発揮し、それがすんだときには、からだは使いはたされて死に至る。ここには老化はなく、青春から瞬時にして死へと突き落とされるのである。

また昨年の5月30日付で「サケ、命がけ産卵? 6~7秒心臓停止」という新聞記事を紹介しました。併せてお読みいただければ幸いです。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_0d62.html

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