ナイフの刃で漆黒をつくる(月の縦穴に関連して)
これは商品名「NTカッター」の替刃です。10枚一組です。
左の写真では刃の背側を見ています。
「しろがね」といわれる銀とは違って、「くろがね」と呼ばれる鉄ですので灰色ですね。でもまあ、金属光沢があります。
白く光っているのは刃。
側面に刃を折るための溝が刻んであります。
さあ、この刃の反射を利用して漆黒を観察します。
10枚重ねた刃です。
いかがでしょう。
上の方にかすかに刃が識別できますが、中央付近のジャストピントのあたり。
まっくろでしょ。刃がV字型に並んでいるので、その刃に当たって反射した光は中へ中へと入っていって、かえってこないのですね。
そこで、ギラリと光るナイフの刃が重なると漆黒になる、のです。
この撮り方だと、刃は識別できますが、刃の間が真っ黒。
刃についたワックスかなにかが白く見えます。
そう珍しいものじゃなし、今度、カッターナイフの刃を買ったら、ぜひ10枚まとめて観察してみてください。
この黒の質感は、ビロードのような感じです。なんだかビロードのようなものなのかな、と触ってみたくなりますが、鋭利な刃ですから、お気をつけください。けがをします。
◆実は、大学生くらいの頃でしょうか、針を何百本も束ねて、その尖った側から観察してみよ、黒く見えるであろう、という物理か何かの本の記述を知ってはいたのです。
ですが、実行してみる気にはなりませんでした。
教師になって、今はなくなってしまった明正高校で生活化学の講座を担当した時に、色素・顔料を化学的に扱って身近な「色」の学習をしようという授業を構成したのです。その導入として、白と黒は色ではない、というところから入っていこうとして、このカッターナイフの刃を思いついたのでした。
白の方は二酸化チタン(レジ袋の白、油絵の具のチタンホワイト、m&m'sの色の下地など・・・)で導入しましたっけ。
なつかしいことでした。
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