落書き
落書きはいけませんが、同じ絵を2カ所で見つけましたので気になって。
あまり品の良い落書きではありませんが、一方で「ヘキヘキ ム血っこ」みたいに読めそうでおかしい。
へのへのもへじの流れを汲んだ現代版でしょうか。
へのへのもへじは有名ですが、どこで覚えたのだろう?私は「つるはまるまるのむし」というのを知っています。
ペイントにマウスで描いたので様になりませんが、こんな絵です。
◆小林朋道さんという鳥取環境大学教授の先生がお書きになった本がありまして。
「先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!」築地書館、2008.10.10初版発行
という本です。最高に面白い本です。
「はじめに」のところで
「私は鳥取県の鳥取環境大学で、専門である動物行動学と人間比較行動学(私は両方あわせて人間動物行動学と呼んでいるが)、そしてそれらを基盤にした野生動物の保護の研究と教育と実践に日夜(?)励んでいる」
とあります。
「駅前に残された”ニオイづけ”はタヌキの溜め糞?スプレーで描かれたサインの動物行動学的意味」という章がありまして。ところどころを引用しますと。(太字は小林氏がつけたものです。)
このようなサインをつけるホモサピエンスの動物行動学的意味には大変興味がある。
動物行動学的にいえば、この「若い男性」というのは、少年期から次の段階へ進み、地域の大人社会のなかで、自分の存在を受け入れてもらい、また異性に自分の魅力をアピールしなければならない時期である。サインづけは、多くの都市の駅前や、駅以外でも、多くの人々が集まるような場所でしばしば見られる現象である。そしてそれは、若者が、自分にとってなじみの深い場所で、自分の存在を誇示する競争心の表われのように思われるのである。
若者のサインは、縄張りを防衛するこのような哺乳類のニオイづけと似た性質をもつものであるが・・・
タヌキには、・・・ヒトと共通しためずらしい習性がある。それは「共同トイレ」である。
タヌキたちは溜め糞場に排出された糞尿について誰のものかをニオイで識別しているらしい。・・・私は鳥取駅前通りのサインをいろいろ見ていくうちに、それらはタヌキの「溜め糞でのニオイづけ」に近いものではないかと思うようになってきた。
人びとが多くとおる場所で、
「この場所はおれのなじみの場所なんだ。おれはここにいるんだ」
とアピールしているのではないかと。そしてその心理の奥には
「おれを認めてくれ、おれを知ってくれ」という、大人社会に入りつつある若い男性の、大人や同年代の同性、異性に向けたアピールがあるのではないだろうか。・・・最後に、サインの作者たちにお願いしたい。
地域の大人社会の一員になるためには、地域の共同体のなかで自分なりの役割を果たすようになることが必要だ。・・・
共同体の皆が「よくやった」と思えるような行動に結びつけてほしい。
・・・
以上、引用でした。
この本を読んで以来、街で落書きを見かけると私たち夫婦には、「あぁ、ヒトの、ため糞があるゾ」という会話が成立するようになりました。
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