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2009年10月21日 (水)

叢雲(むらくも)

2009.10.19付 朝日俳壇より
叢雲の中を駆けるや今日の月:(横浜市)小西昭七

運動というものは相対的でして。
雲が流れているのに、月が移動していくように見えますね。
人間の主観のなかで、どこに運動を見る座標を設定したかによるのですね。

空いた電車の中で、自分のいる車両から連結部の向こうの車両を見てください。
揺れているのは向こうの車両、というように見えますよ。体では自分の体も揺れていて、こっちの車両も揺れているとわかっていながら、目に見える光景では、絶対にこっちの車両は静止していて向こうの車両が揺れている、としか見えないと思いますよ。
自分を主において、自分に座標系を置いたから、向こうが動いて見えるのですね。

空といい、川といい、比較できるものの少ない大きな光景の中で、ときどきこういうどちらが動いているのか「見失う」という、めまいのような感覚に襲われます。

こういうめまいは健康上の問題ではありませんので、そのくらくらをたっぷり楽しんでください。

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