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2009年9月25日 (金)

空蝉

0917utusemiもうすっかり蝉の声も聞かなくなりました。
ミンミンゼミの大声も今年はおしまい。

夏の思い出に撮らずに残してある脱け殻です。
土から出て、この場所まで、ずいぶん長い距離を歩いたはず。すごいな。

どうも人は「幼虫」を人間の子供時代に、「成虫」を人間の大人に引き寄せて考えがちです。
ですから、長い子供時代を経て、やっと大人になったのに、ほんのわずかで死んでしまう、と理解してやたらと儚さを覚えてしまう。

多分違うんですよね。生きる時間の大半を過ごす、いわゆる「幼虫時代」のほうが「人生(虫生)」の「主」であって、生の終わりに、次の世代を作るべく、有性世代へと体を作り変えて出てくるだけ。人間が「成虫」と呼んでいる姿のほうが、彼らにとって「仮の姿」なのではないでしょうか。

うつせみ【現人】(ウツシ(現)オミ(臣)の約ウツソミが更に転じたもの。「空蝉」は当て字)
 ①この世に現存する人間。生存している人間。万葉集1「―も妻を争ふらしき」
 ②この世。現世。また、世間の人。世人。万葉集4「―の世の人なれば」。万葉集14「―の八十ヤソ言の葉ヘは繁くとも」

うつ‐せみ【空蝉】(「現人ウツセミ」に「空蝉」の字を当てた結果、平安時代以降にできた語)
 ①蝉のぬけがら。  夏 。古今和歌集哀傷「―は殻を見つつも慰めつ」
 ②転じて、蝉。後撰和歌集夏「―の声聞くからに物ぞ思ふ」
 ③魂がぬけた虚脱状態の身。新内、藤葛恋柵「身は―の心地して」
 ④源氏物語の巻名。また、その女主人公の名。伊予介の妻。源氏に言い寄られるが、その身分や立場のゆえに悩む。夫の死後は尼となり、やがて二条院に引き取られる。

うつせみ‐の【現人の・空蝉の】 枕 
「身」「命」「世」「人」「妹」にかかる。万葉集1「―命を惜しみ」
[広辞苑第五版]

◆東京の山手線の大塚駅のそばに「空蝉橋」という橋があります。今は山手線をまたぐ陸橋なのですが、どういういわれがあるのでしょうか?
以前、用事があってたまに車で渡ったことがあるだけで、地元のいわれは知りません。

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コメント

お住まいは都内でしょうか、今、ひとつ質問は理系と聞いて安心です。私は企業の研究者で「樹脂の生分解と自己修復」をやっていました。他所では憚れる話題をここでは話せそうです。よろしくお願いします。

多摩川まで直線距離で1kmもない、東京の「はじっこ」に住んでおります。
河川敷まで散歩に行ければもっと多様な昆虫と出会えるのでしょうが、脚力がもうもたなくなりました。
現役時代は都立高校で化学・物理・生物などを教えておりましたが、もう、相当な昔のことです。遠くなりました。

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