メスジロハエトリ
頭胸部のところだけトリミングして縮小なしでお目にかけます。
読みにくいかもしれません。
前から、前中眼、前側眼、後中眼、後側眼の4対、8個です。
この夏、最高の読書を楽しんでおります。「動物の多様な生き方」というシリーズです。5巻シリーズですが、現在4巻まで出ています。
小説は、「人間の頭の中の出来事」ですが、動物の仕組みは「人間の頭の中」などには絶対に収まりきらないものすごい世界・出来事・仕組みがいっぱい。まさに「想像を絶する」世界に遊んでおります。楽しいですよぉ。
さて、このシリーズの5巻「さまざまな神経系をもつ動物たち」の8章に「クモの視覚」という章があります。そこから、少し引用します。
・・・一般的に徘徊性のクモの眼は造網性のクモの眼に比べ発達しているが、そのなかでもとりわけ優れた眼をもつのがハエトリグモである。
・・・前側眼は約60°、また、後側眼は約120°の視野をもち、これら4個の側眼でクモの周りのほぼ360°をおおっている。この視野内で小さな物体が動くと、クモは動いた物体が自分の正面にくるように体を瞬間的に回転させる定位行動を示す。・・・ひきつづき、ハエトリグモは向かい合った相手の違いにより主眼ともよばれる前中眼を通して捕食行動や配偶行動に移る。前中眼は細長く水平方向の視野は5°と狭いが、高い解像力をもち形態の識別や色彩の弁別などの高等な機能をもっている。また、後中眼はきわめて小さく「退化した眼であり実質的なはたらきはない」と考えられていたが、紫外線受容に関与していることが明らかになってきている。・・・
・・・
前中眼は6群の動眼筋のはたらきにより、固定したレンズに対して網膜を振り子のように動かすことができ、さらに視軸を中心にねじることもできる。・・・視野の中心でとらえた物体を、網膜をねじりながら左右へ細かく動かし走査することにより識別している。
・・・
ハエトリグモが紫外線を含まない可視光線のもとで、青から赤までの広い範囲の色を識別している・・・
ハエトリグモは紫外から赤の領域まで広い範囲の色を識別している・・・
こんな話なんですね。すごいでしょ。
クモの眼は体に固定しているので、網膜を動かして精度を上げるなんて、考えもしなかった。
私たちは眼球を動かせますからね。じっと、凝視を続けると、視界がぼやけますから、絶え間なく眼球を動かして像を鮮明に見続けているのです。それが、逆とはねぇ。相対的なことだからなぁ、そうだけどぉ。網膜を動かすなんて。スゴイ。
私の動きを察知しましたね。
なにさ、とこっちを向いた瞬間です。
この大きな二つの眼が、ヒトの認識パターンに対して、「顔」というイメージを強く喚起するんですね。で、ほかのクモより、なんとなく親しみがわきやすいのではないでしょうか。
ところで、このメスジロハエトリのそばを、小さなアリが歩いたのです。すると、パッと体の向きを変えて、アリの方を向き、パッと飛びつく、という動作を2,3回しました。でも、そのたびに、後ろへ飛び退りました。
きっと、アリって美味しくないんですよ。蟻酸なんか出すから。このサイズの世界では、蟻酸はかなり強い毒なんでしょう。
哺乳類などは体が大きいから、アリクイやサルなど、アリを平気で食べますけどね。(ピリっとしてうまいや、なんて思ってたりしてね・・・)。
ハエトリグモを見かけたら、ここで書いたことなど思い出して、にらめっこしてみてください、かわいいですよ。
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