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2009年7月14日 (火)

こだわり

[恋する大人の短歌教室] (2009/07/13 付朝日新聞)
{応募作}ファッションに夫はこだわり持っていて私好みにならず手強い:埼玉 高橋純子

 実に楽しそうなご夫婦ですね。物忘れを競っているとご子息にからかわれているそうですが、どうしてどうして。奥さん任せでないご主人と、ご主人をリードしたい奥さん。そのコンビネーションの妙が若さの秘訣なのでしょう。
 感じたままを素直につづった歌で、どこといって直すところはありません。ただ、「夫」をどう読むかで一瞬立ち止まってしまいました。音数の関係から「つま」と読むのが短歌的な常識です。しかし一首の流れの自然さからは、字余りになっても「おっと」と読みたいところ。ルビ(ふりがな)を振ってみました。そうなると、「私」を「わたくし」と読むか「わたし」と読むかも気になりますね。やはり「わたし」でしょうか。だとしたら音数も整うので、ルビなしで。「手強(てごわ)い」にも「てづよい」という読みがありますが、ここもこのまま。歌人にも嫌う人が少なくありませんが、作者の読みをより正確に読者に伝えるためにも、ルビはもっと活用されるべきだと考えます。(石井辰彦)

{添削後}ファッションに夫(おっと)はこだわり持っていて私好みにならず手強い
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 添削をしなければならない、という束縛が重かったようですね。結局、「おっと」という読みをルビとしてつけただけで、今週は終わってしまいました。

 ルビというものをつけること自体に問題はないと考えています。固有名詞や普通には読めないような漢字、こう読んでくれないと意図が通らない、といった場合には存分に使ってください。ただ、作品としての歌の中に埋め込むのですから、ルビ自体も作品の一部であることが完全に意識されていてほしいと思います。

 今回の、「夫」「私」「手強い」ですが、「夫」と「私」はどう読んでもよいのではないですか?
歌の内容からすると、「夫」を「つま」と読むことはほとんどないでしょう。内容がやわらかですから。
「私」はどうかな。普通には「わたし」ですが、「わたくし」と読めば、てごわいおっとと対峙するべく、背筋をすっくと伸ばした雰囲気になりますね。
これは読者に任されてよいことでしょう。お好きにお読みください。
 どちらにしても、音の数はあまり気にすることはないと思います。どちらの読みを使っても、声に出して読んだときに、リズムが狂うことはありません。試してみてください。
私は、音の数よりも、リズム、調子を大事にしたい。声に出して読む歌がつっかかってはいけないでしょう。調子の上下、リズムの整い、それを大事にしたいと思います。

さて「手強い」ですが、実は恥ずかしながら「てづよい」と読めることをこの年になるまで知りませんでした。物知らずですねぇ。

て‐づよ・い【手強い】(形)てづよ・し(ク)
  することが強くてしっかりしているさま。当りが強い。てごわい。天草本平家物語「三人の者どもなほ―・う戦ふを」[広辞苑第五版]

て‐ごわ・い【手強い】(形)てごは・し(ク)
  相手として容易には勝てそうもない。受けて処理するのにむずかしい。てづよい。「―・い相手に出会う」「―・い問題」[広辞苑第五版]

こうやって、比べてみると、やっぱり「てごわい」と読んでもらったほうがよさそうだと私は思います。ですから、「手ごわい」としたいな。

{かかしさんの提案}
ファッションに夫はこだわり持っていて私好みにならず手ごわい

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