水着つけ
2009.7.27付 朝日俳壇より
水着つけまづは鏡に入りけり:(海老名市)川上益男
長谷川櫂 評:プールの水に入る前に、冷たい水のような鏡に映してみる。一句に心のときめきがある。
私はまず、句だけを読む人なんです。作者名も読まない。
そうしたら、はじめ女性だと思ったんですね。水着が縮んじゃったわねぇ、と苦笑している女性かと。
ところが作者は男性。「まずは鏡に入った」けれど、あ~あ、なのではなかろうかと思ったのです。
評を読んで、そりゃないんじゃないかなぁ、と。
ナルシスティックに自分の筋肉美にときめいているわけでもないでしょう。やっぱり、苦笑の句なのではないのかなぁ。
私は毎週のように民間プールの一般開放に行って泳いでいますが、ナルシスティックになれるような肉体をお持ちの男性はまずほとんどいませんね。(失礼。ゴメンナサイ)。
私など、痩せてはいるけど、その分肌が緩んでしまって、水の抵抗で波打つんだもんなぁ。とほほ情けない。
さて、この句の真相や如何に?
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2009年07月27日(月)付朝日新聞の天声人語から部分引用します。
身体の露出が増えるからだろう、夏の前にはダイエットをうたうサプリ類の売れ行きが伸びると聞いたことがある。〈体重が増えしか水着が縮みしか〉前田千恵子。万人の心にひそむ飽食時代の「恐怖」が、ユーモラスに透けている。
・・・
現代の娘さんたちは、誰(た)がために身を細らせるのだろう。関連する業界やメディアが作り流す「美」のイメージは、人工的で、生身の人間からは遠いように思われる。「水着が縮んだのよ」と笑い飛ばすおおらかさが、周囲にも、彼女たちにもほしい。
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