噴水
2009.6.29付 朝日歌壇より
白鳥が水浴びるごと噴水は降りしきる雨を受けてはばたく:(沼津市)森田小夜子
佐佐木幸綱 評:暗く降り続く梅雨の日の噴水に、明るいスポットライトを当てて独特。見る人もいない孤独な噴水が歌の中で華やかに立ち上がる。
これは美しい見立てですね。噴水を、白鳥が首を立て羽を広げる姿に見立てた。選者の言うように「華やか」です。今後、噴水を見るときはこの見方に影響されてしまうことは必至。
斜めに水を噴出してはすぐ切ってしまう、噴水を見たことがあります。すると、水が空中を放物線を描いて飛んで行くのですが、あのときは「イルカ」を噴水に見ました。
今度は白鳥です。新しい見方が広がるのは楽しいですね。
噴き上げは大きな羊歯の形して白い密林あらわれる夏:(福島市)澤正宏
高野公彦 評:噴き上げ(噴水)の群を幻想的に詠む。
こちらは、「羊歯」です。膜状に広がって分かれていく姿でしょうか。そうか、あれは羊歯か、と納得しました。
でも、「噴水の群」である必要ななさそうに思えました。一つの噴水の広がる水の膜が羊歯となり、そこに密林を見る。あちこちにたくさん噴水がある必要はないのではないか、と考えます。
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