カメレオン
2009.6.29付 朝日歌壇より
カメレオン私はいったいどこの人日本三年オランダ五年:(オランダ)横地可奈
佐佐木幸綱 評:高校生の歌。
高野公彦 評:わたし日本人かしら?という率直な自問の歌。作者十六歳。
永田和宏氏も選んでおられます。
ここで、ひとつの、小さいけど重大な「悟り」を開いていただけると嬉しいな。
あなたはどこの人でもないのです。地球の人ですよ。
国にとらわれることはない。国というものは便宜上の帰属記号に過ぎません。
大事なのは人。
私の帰属はどっち?と迷うような状況になれたことは、あなたのチャンス、幸運。
他の人にはないポジションから、人間というもの、国というものを見る視点を得てしまった。
これからはそれを生かす生き方をなさればよい。そうしてほしい。
ちゅうぶらりん、というのは最高です。
コウモリは獣でもなく鳥でもないと嫌われたというイソップ物語もありますが、それは一面的。
どちらでもないから「こそ」、どちらからも自由でありうるのです。
私自身は結構頑丈な体の身障者でしたので、健常者にも、身障者にも、素直に帰属を決められないようなところに立って、その位置から両方を見ることができるようになったと思っています。障害があるから「こそ」と言い始めたのもそのせいでしょう。
コウモリの幸せ、カメレオンの幸せ、を生きてほしいと願うものです。
「本当の自分」とかいう幻想に惑わされて、何かに決めつけられて安定感を得たりしないでほしいんです。
宙ぶらりんでいることの、ゆるさ、楽しさというのもあることを知ってください。
「ペンディング」を背負って生きるのは楽しいですよ。
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