勝負水着
[恋する大人の短歌教室](2009/07/06 朝日新聞より)
{応募作}明日はこれ勝負水着に身をつつみプールのシーン思い浮かべる:東京 横山京子
勝負水着ですか!部屋でひとり、お気に入りの水着を身に着け、翌日行く予定のプールでの情景を思い描いている女性……。李中の男性とは既にある程度親しいのか、それともまだ言葉を交わしたこともないのか、いずれにしても彼がどんな反応を示すか、ここが勝負どころだ、というわけですね。意気衝天の恋する女性ですが、胸も高鳴るこういう状況を冷静に歌に詠めるなんて、実に頼もしい。期待以上の成果を上げることができたに違いありません。
しかし、「恋する大人の短歌教室」としては、男性の影がいささか薄いような気もします。好みの問題ではありますが、もう一刷毛濃くしてみたらいかがでしょう。一案として「あの人」という言葉を入れてみました。ただこうすると、何やら理に落ちたと感ずる読者もいるかもしれませんね。心の叫びともいえる第一句には一時空きを添え、一首をくっきり句切ってみましたが、いっそ「明日はこれ!」と感嘆符を付けても、楽しいかもしれません。(石井辰彦)
{添削}明日はこれ 勝負水着に身をつつみプールのあの人思い浮かべる
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「恋する大人」ですからね、石井氏は、ターゲットの男性がいる、と最初から決めてかかりましたから、その意味ではこの添削はそれなりに正当なものだと思います。
あの人、びっくりするかしら。あの人、こんな水着を見て、他の男に見せたくないなんてドギマギしないかしら。・・・
そうならば、「シーン」ではなく「あの人」の反応ですから「あの人」でいいと思います。
私はちょっと違った読み方をしてみたのです。
普段の地味な競泳用水着とは違う、派手な「今年の」水着を買ってきて。
ホテルのプールかどこかで「勝負!」
プールサイドの男性たちの視線を全部引きつけてしまおう!
どうだ!まいったか!
という「シーン」を思い浮かべていらっしゃる。
願望と恥ずかしさを込めて、少し茶目っぽく
明日はこれっ 勝負水着に身をつつみプールのシーン思い浮かべる
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