日食のスピード
黒い線は資料を見ながら私が適当に描きこんだ皆既日食帯の北と南の限界線です。
地図の下のスケールを使って、皆既日食帯の幅を見積もると、約240kmくらいありますね。
皆既日食「帯」というものは、地表に落ちた月の「丸い影」が移動していく帯です。左図がそのイメージです。
ということは、皆既日食帯の幅が、月の影の直径である、と考えていいでしょう。
地表に落ちた月の影は直径約240kmという事です。
帯のほぼ中心に位置する悪石島では、この240kmの影が約6分半くらいで通過していったわけです。
240km/6.5min=36.9km/min
分速37kmといってもピンときませんね。60倍すれば時速になりますね。
36.9km/min ×60≒2200km/h !!!!
時速2000kmですよ!
物体が動いているわけではなく、影という現象の移動速度ですから、周りの空気をまきこんで・・・などということはないからいいですけどね。
時速2000kmというのは想像を絶していますね。
地球に落ちた月の影が移動していく様子の動画が見られます。
気象庁のサイトです
http://www.jma-net.go.jp/sat/data/web/suneclipse_observation.html
気象衛星ひまわり7号が撮影した15分ごとの画像を動画化したものです。インドの方に現れた影が猛スピードで太平洋の方へ抜けていくのが見えます。なかなかに見ものです。どうぞ。
地表に立って、太陽の前に月が入って隠した、という出来事が、別の側面で見ると地表を走る影ということにもなるのです。「視点」の変更って、結構楽しいですよ。
更に別の見方もあります。月も地球も太陽に照らされて、宇宙空間にいつでも影を曳きながら運動しているわけです。月と地球、それぞれに相手の影に入ってしまう事があるわけで、それが今回のような日食であり、月食であるわけです。
月の影は月食のときだけあるのではなくて、いつも宇宙空間に影を曳いているのですね。
◆宇宙的な話は人間のスケールを絶しています。
地球の自転速度は赤道上の点で、約1680km/hです。
公転速度はというと、なんと、10,8000km/h=30km/s です。
すごいでしょ。
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