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2009年7月 2日 (木)

2009.6.29付 朝日歌壇・俳壇より
祝福はかくの如きか夕虹の下なる村のはつか明るむ:(福山市)武暁

虹の下って明るくなりますよね。ああ、あの情景か、と思ったところまではいいのですが
「はつか」が分からなかったのです。(無知)。

はつか【僅か】わずか。いささか。古今和歌集恋「はつかりの―に声を聞きしより」[広辞苑第五版]

そうなのかぁ。

祝福とはこのようなものなのか、夕虹の下の村がほんのりと明るく照らせれていることよ。

なのですね。

故郷は虹の根つ子にありにけり:(大村市)小谷一夫

虹を見ていると、その根っこが立つ「地点」があるような気がしますよね。それはそれでよいのです。感覚的にはそうなんだから。

◆さて、ちょっとここで「かかし」さんが「理科おじさん」に変身。
虹というものは不思議なものでして。
虹という一つの実体が空中に出現して、複数の人がその一つの実体を観察する、というものではないのです。
実は、観察者一人一人が異なる虹を見ているのです。
虹というものは観察者に属するものなのです。
太陽からの光線が水滴に入射・屈折、水滴内で一回反射、水滴から射出・屈折という経路をたどって、観察者の目に入ってくる、これが主虹です。ここで、二回「屈折」と書きましたが、この二回の屈折で太陽光が分散されて「虹の色」になるのです。

太陽から観察者の目まで、光の道は一本のみ。この光の道を別の人が共有することはできないのです。別の人はその人の目と水滴と太陽を結ぶ光の道で虹を見ます。

ですから、虹は観察者それぞれに属するものなのです。

・虹って淡いですよね。太陽光のうち、実際に虹として観測者の目に入ってくるのはごくわずかだからです。
では、その他の大量の光はどうなったのか?水滴の周辺に散乱してしまうのですね。ですから、虹が見えるあたりは、散乱光で照らされて明るくなるのです。「はつか」に。

・あまり普通は気づかれていない視点をご紹介しましょう。
富士山を見れば、富士山は「ひとつ」の実体ですね。
新幹線から富士山の写真を撮ります。わずかの時間をおいて2枚撮ります。
すると、異なる場所から撮ったひとつの物体の姿は、少し姿が変わります。
2枚の写真を撮った、それぞれのところに目がある巨人が富士山を見ていると思ってください。
巨人は、両方の目に入ってくる富士山の姿の微妙なズレ=視差から、富士山を立体的に見ることができます。
この両方の目に入ってくるひとつの物体の姿のズレ=視差から立体視をするというのは私たちの普通の能力です。両眼視差による立体視、といいます。いろいろこれを利用した出版物もありますからご存知の方も多いでしょう。

さて、飛行機から虹が見えることがあります。その時に、時間差を置いて写真を撮ると、目の間隔がものすごく長い巨人がその虹を見たことになります。
その巨人の目からは、雲が立体視できます。ところが、立体的に盛り上がった雲にかかる虹、には遠近感がないのです。それぞれの目にそれぞれの虹が見えるので、視差が生じないのです。視差の生じない物体、それは無限の彼方にあると判断されます。
ですから、モクモクと立体的に盛り上がった雲と、無限の彼方の虹、として見える「はず」なのですね。

実は、このことに気づいてから、立体写真集を注意深く見るようになりまして、「あった!」のです。
雲の立体写真を集めた写真集があって、その中に、虹も一緒に写っている写真があったのです。うれしかったぁ。
立体視してみました。雲は立体的に見えます。ところが、虹には立体感がないんですねぇ。どこにあるのか、認識できないのです。見えますが奥行きは分からないのです。
仮説が証明されて、うれしかったです。

・地図作りの際に、飛行機から地面を撮影します。写真が少しずつ重なるように撮影します。そうしてその重なった部分を両眼視すると、立体的に観測することが出来て、地形図が描けるのです。

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崩彦俳歌倉」カテゴリの記事

コメント

はじめまして  ブログ初心者です
少し読ませていただいただけですが
大変すばらしい内容に
自らのものが恥ずかしくなりました

さて、オナガウジの写真を探して
やって参りました
勝手に自らのブログに貼ってからの
事後承諾お願い誠に申し訳ありません

差し障りがございましたら削除
いたしますのでご連絡ください
ありがとうございました

リンクしていただいてありがとうございます。ちっともかまいません。
生きもの好き、中でも昆虫好きです。写真でいろいろな「生きる姿」をご紹介したいと思っていますので、お楽しみください。嬉しいことです。

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