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2009年7月29日 (水)

子細ありげに

2009.7.27付 朝日歌壇より
歩行虫(オサムシ)か塵芥虫(ゴミムシ)かはた埋葬虫(シデムシ)か雨あがりを行く子細ありげに:(新潟市)太田千鶴子

 馬場あき子 評:蒸し暑い季節に繁殖する歩行虫や塵芥虫、埋葬虫たちのうごめきが目につく頃だ。夏のいのちのいぶせさもあるが、第一首の結句「子細ありげに」が面白い。どんな虫にもその動きには理由がある。

 永田和宏 評:虫の名は面白い。どれも漢字とのセットでヒドイ命名だが、素人には見分けがつきにくい。シデムシは日高敏隆さんお気に入り。結句が飄逸。

◆語彙不足ですみません。「いぶせさ」がわからなかった。

いぶせ・し【鬱悒し】形ク
①(恋しさ、待ち遠しさなどのため)気分が晴れず、うっとうしい。万葉集4「ひさかたの雨の降る日を唯独り山辺にをれば―・かりけり」
②いとわしく、きたない。むさくるしい。沙石集1「人は―・き事に思ひて見訪ふ者もなし」
③恐ろしく、気味がわるい。平家物語9「余りのいぶせさに、目をふさいでぞ落しける」

はて、馬場氏のおっしゃる「いぶせさ」ってどれかな?②か③なんでしょうね。
夏の虫たちは気持ち悪いけれど、「子細がある」というように擬人化すると面白味が湧く、とおっしゃっているのかな、多分。

永田氏は生物学者だし、おそらく一応、ここにあげられた虫たちの名や姿をある程度ご存じでいらっしゃる。虫として美しいものもたくさん含まれていますのでね、この名前の中に。そのことを御存じなので「ヒドイ命名」とコメントされた。
ただね、動物行動学者・日高敏隆さんのお名前を知っている人は、どうかな、短歌を詠む方々の中ではポピュラーではないのではないかな。シデムシが日高さんのお気に入り、と聞かされて、なるほどやっぱりね、と思う人はきっと少ない。ということは、さらに日高さんという名前に註が必要になってしまうので、短い「評」の中に書き込むのは必ずしも適切ではなさそうですね。

お二人とも結句の「子細ありげに」に惹かれたようですが、その機微が私にはよくわからなくて。
単純虫好きおじさんの無粋です。餌さがしに、いろいろ向きを変えながら歩き回っているということでしょ、と思ってしまう。詩心がないなぁ。

むしろ、上げられた虫たちの名から、実物のことを思い出して楽しんでいるというのが本当のところ。また、よく漢字を調べられましたね、という所にも感心しています。
慣れると、この3つのグループはそう無理なく見分けられます。子細に見てくださいな。(種まで同定できる必要はないですよ、ああこれはオサムシの仲間だ、これはシデムシだね、と分かれば十分です。)

オサムシは、機織り機の「おさ」(筬)から来た命名でしょうね。形が似ているわけではないけれど。(形ならむしろ「ひ」(杼・梭)に似ている気がする。)

参考までに広辞苑から

おさ‐むし【筬虫・歩行虫】ヲサ  オサムシ科のうちオサムシ亜科に属する、比較的大形の甲虫類の総称。体は細長く、筬に似る。大多数の種は後翅がなく飛行不能のため、地域分化が著しい。成虫、幼虫ともに肉食。美麗種や体形の変ったものが多い。オオオサムシ・アオオサムシ・マイマイカブリなど。

ごみ‐むし【芥虫・歩行虫】
オサムシ科のうち、オサムシ類以外の甲虫の総称。体は長楕円形で、多くは黒褐色、光沢がある。石やごみなどの下に多く、肉食性。日本に千種以上が分布。その一種のゴミムシは、体長約13ミリメートル、黒色で光沢がにぶい。草むらの中、石の下などに多く、夜行性。

しで‐むし【埋葬虫】
シデムシ科の甲虫の総称。体長は約3~30ミリメートル。一般に体は扁平長楕円形。前胸は亀甲形で盤状、触角末端部は球稈状。成虫は好んで動物の死屍に集まる。幼虫も腐敗物を好む。


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